“phantasmagoria”とは、「【1】めまぐるしく移り変わる幻影・夢の景色。【2】走馬燈、幻灯機。」のことですが、“phantasm”すなわち“phantom”「幽霊・お化け」の物語でもあります。
【幽鬼】
原文“Spectre”。“Ghost”が幽霊一般を指すのに対し、どちらかというと「恐ろしいもの」「怪物」といった存在。
ちなみにキャロルとは全然関係ありませんが、フランスのホームズ・パロディ(?)ルーフォック・オルメスのライバル名はスペクトル――フランスの殺人鬼怪盗ファントマのパロディです。また、『オペラ座の怪人』の名は「ファントム」。
“ghost”“phantom”“spectre”のニュアンスの多少の参考になりますでしょうか。
それぞれ“Phantom, Goblin, Elf, Sprite”。
“Phantom”こそ本編の主人公です。「幽霊」のことなのですが、“Ghost”と区別するため「幻妖」と訳しました。なお、キャロルは本編中で“Ghost”「幽霊」という単語を、お化けたちの総称として使っています。
“Goblin”とは悪戯者の「小鬼・小妖精」のこと。人型。水木しげるの妖怪事典によると、ドイツのコボルト、スコットランドのブラウニー、日本の座敷童子と同じ性質を持つらしい。でもコボルトや座敷童子が幸福をもたらすのと比べると、もっと悪いことばかりしているイメージがある。
“Elf”も「小妖精・小鬼」のこと。人型だが耳や尻尾があったりする。家に現れる Goblin とは違い、Elf は森や異世界などの「Elf の国」に住む。本来は妖精一般を指す言葉。キャロル『シルヴィーとブルーノ完結編』にて、二人の父親が王に選出された国が“Elfland”でした。ちなみにシルヴィーとブルーノが住んでいるのは“Fairyland”。
“Sprite”とは「小鬼・妖精・小人」のこと。これもどちらかといえば妖精の総称。それこそティンカー・ベルのような羽根のある妖精から、ゴブリンのような小鬼まで幅広く指す。
【四十二歳】
キャロルが「42」という数字にという数字にこだわっていたことについては、『詳注アリス』や各種研究書などをご覧下さい。こんなサイトもあります。