【ミス・スミス】
[訳註]
原文はもちろん「Miss Smith」、〈Miss〉つまり独身であるということを表わしているのですが、日本語で「スミス嬢」とするとどうも〈独身〉だというのがはっきりしない気がしたので、「ミス・スミス」としました。
【ヤコブ】
『旧約聖書』「創世記」第二十八章によると、「石を枕に寝ていたヤコブが夢を見る。天まで届く梯子を、神の使いが上り下りしていた。目覚めたヤコブは、そこが神聖な場所だと気づき、枕の石を立てて柱とし、そこを神の家ベテルとした」そうです。
さらに詳しく知りたい方は、邦訳聖書「eBible japan」に新共同訳と改訳が、「物語倶楽部」に「創世記」文語訳があるので参考になさってください。
この人の名前は本来は英語読みすると「ジェイコブ」ですが、明らかに聖書と関係があるので、「ヤコブ」としました。
【果てしない線路】
[訳註]
「the permanent way」は、これだけでそのまま「線路」の意味ですが、何もかもが果てしない天国の線路ということで、あえて「permanent」を訳出しました。
【御形黄】
[訳註]
ここは原文では「peacock and cinnamon」ですから「孔雀色とシナモン色」なんですが、これじゃあ何色かわからないんで「孔雀緑と御形黄」としたわけですが、実は「cinnamon」は「御形」じゃありません。「シナモン」は日本語では「ニッキ(肉桂)」、でも「肉」という字面は美しくない。というわけで「ごぎょう」なら春の七草だし誰もが知ってるかな、と「御形黄」としました(でもわかりづらい。「山吹色」ならわかりやすいのだが、色が濃すぎるのである。ほかにも「蒲公英」とか「女郎花」、「檸檬」、「菜の花」……要するに薄い黄色なんです)。
【乙女】
[訳註]
まあ「乙女」で間違ってないんですが、現代語で「乙女」というと、ただ「女の子」という意味に聞こえちゃうんで、訳註です。原文「virgin」でもって「乙女」とは「未婚の処女」という意味です。〈ミス〉・スミスさんですからね。そして現在ではどうなのかわかりませんが、キリスト教では純潔が尊ばれてました。
【ルーベン】
『旧約聖書』ではルーベンはヤコブの息子。次に出てくる「ラファエル」も『旧約聖書』カトリック聖典「トビト書」に出てくる天使の名。ではあるものの、欧米では「ジョン」とか「ポール」とか聖人の名前を付けるのは当たり前のことだし、あんまり関係ないかも。
【タンタロス】
原文は「Tanteelee」で、辞書調べてもグーグルかけても不明だったのだけれど、「Tantalus」の別型のようではある。
タンタロスはギリシア神話でゼウスの息子。「地獄の池に落され永劫の罰を受けた」。
【新生】
「ヴィタ・ヌオヴォ(vita nuovo)」とはイタリア語で「新しい生命・生活」のこと。「新生vita nuovo」とはダンテの作品の名でもあるのだが、無関係か?
【伴侶】
[訳註]
原文は「living mate」。おそらく「soul mate」とほぼ同じ意味か、あるいはそれをもじったものと取り、「伴侶」と訳しました。
【ノクス】
ローマ神話で夜の女神。ギリシア神話ではニュクス。