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ヒラリー学期】
[訳註]
 イギリスの大学における学期単位で、1月〜3月ごろまでの期間。その最後の夜ということは、この物語の舞台は3月中旬から下旬にかけてということになります。後に物語中でシンプキンズが言うように、イギリスの3月はけっこう寒いのだそうです。
 

片眼鏡《モノクル》】
[訳註]
 モノクルなんていうと、ものすごく古いイメージがあるのですが、調べてみると20世紀初頭までは流行っていたらしく、エヴァンズ=アントロバスがかけていてもまったく不自然ではないことがわかりました。モノクルといえばアルセーヌ・ルパンのイメージが強いのですが、ルパンの活躍時期も19世紀末から20世紀初頭、意外と新しいのです。
 

こぢんまり】
[訳註]
 「Simpkins」という名前の語尾「-kins」は「小さい」を表わす接尾辞なので、ファズはそういう感想を持ったのだと思われます。
 

カレッジ】
[訳註]
 シンプキンズに向かって「どこのカレッジ?」とたずねるということは、シンプキンズはけっこう年長なのかもしれません。ただしイギリスでは飛び級もあり得るでしょうし、そもそも年齢に関係なく“カレッジにいるからにはカレッジの人間なのだろう”とファズが勝手に解釈したというのが正しい見方のようにも思えます。そういうずれたことを平気で言いそうなキャラではありますから。というか、そういう質問によって、ファズの変り者ぶりを際立たせてるんでしょうね。※シンプキンズの服がルルにぴったりじゃないかという記述から、シンプキンズが小柄だということがわかりますし。
 

ロブ・ロイ】
[訳註]
 ロブ・ロイとは17世紀〜18世紀のスコットランドに実在した英雄の名前だけど、おそらくここではあまり意味がない。「わお、かっこいいじゃん」とか「満を持しての登場じゃん」くらいの冷やかしの言葉だと思われます。
 

サビーヌの掠奪】
[訳註]
 古代ローマの男たちがサビーヌの女をさらったことで戦争状態になるが、やがて和解したという故事に基づく。ルルをさらってきたことにかけているわけですが、ボードビル(原文では大文字「the Vaudeville」で始まるため、おそらく固有名詞「the Vaudeville Theatre」のこと)の演し物自体も『サビーヌの掠奪』だったとも考えられます。
 

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