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【さてシール】
この「さてシール」以下の二段落は、続く三段落目で「疑問点に対する言い訳みたいなものだ」とザレスキー自身が述べている通り、これから推理を述べるにあたっての前振りのようです。限りなくかみ砕いて言うと、「わたしには歴史を知っているという強みがある」ということだと思うのですが。
推理に際して、探偵しか知り得ない特殊な情報を利用するのは、(たとえ推理の補助的な手助けだとしても、)ミステリとしてアンフェアだと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、(おそらくは)そう感じる読者に向けて、これだけ長々と「言い訳」しているというのは、著者はほかのペダントリー同様にミステリのことも知りつくしているようです。おそるべしM・P・シール。
【母なる星は】
「the old mother」――一見「母」とは地球のように思えるのですが、どうも文脈から考えて太陽のようです。ザレスキーは天動説を引用しているのですね。
『ファウスト』冒頭には、天使ラファエルが「太陽は(中略)その定めの旅路を全うする」と歌うシーンがあります。「オーヴン一族」本文すぐあとの、「遙かなものに届く人間などない、望みに手を伸ばすとも」というゲーテの引用も、『ファウスト』なのではないかと思うのですが、見つけられませんでした。
【ペニキュルス】
ペニキュルスは、『メクエクムス兄弟』の登場人物。エルガシルスは、『捕虜』の登場人物。
【輪軸】
【アトウッドの重力加速装置】
【エレボス】
エレボスはギリシア神話における暗闇の男神。ニュクスは夜の女神。エウメニデスは復讐の女神。
アトレウスはミュケナイの王であったが、その一族は代々殺し合いが絶えなかった。アトレウス自身も弟の子を殺している。息子にはアガメムノンらがいる。
【恩寵の巡礼】
「恩寵の巡礼」とは1536年、ヘンリー八世の教会改革に不満を持つ国民による反乱。イギリスはヘンリー八世により、イギリス国教会という独自の宗派となる。しかしメアリ一世はカトリック国スペイン王フェリペ二世と結婚しており、自らも熱心なカトリック教徒であったため、新教徒を弾圧した。
【アコスタ】
ホセ・アコスタ。スペイン人。ただしアラビアではなく、南米の文化・地理・風俗等を記したようである。
【ヴェネツィア製武器】
肝心の凶器の形状がいまいちわかりません。