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疑問点メモ(解決編)

訳し方がわからない箇所や、出典のわからない引用などをちょこちょこここにメモしておきます。こんな簡単なこともわからないのか、とか、こうした方がいいんじゃないか、といったご意見があれば、こちらまでお知らせいただければありがたく思います。


こちらはいろいろな方からのご指摘でどうにかこうにか解決のめどがついたものです。もちろん異論・追加点などございましたら歓迎いたします。


『知りすぎた男』第四話「底なしの井戸」 場面 訳・疑問
and his drooping eyelids and drooping light mustache expressed all the paradox of the Englishman in the East. He was much too hot to be anything but cool. ホーン・フィッシャー氏の外見について。 普段クールなフィッシャー氏が、東洋では熱かった、ってことでしょうか?
自己解決。「hot」に「よく知っている」の意味があることが判明。「hot」⇔「cool」のことば遊びをうまく訳したい。意味は取ったが今のところ一時訳。解決済み 知りすぎているくせに、知らぬ存ぜぬではいられなかった。


『シルヴィー完結編』十六「声の向こう」 場面 訳・疑問
But I've no doubt you take my view of it. 「すみません聞こえませんでした」ミステル曰く。「But I've no doubt you〜.ありがとうございます。残りあと一曲です」フランス伯曰く。 ですが私の言っとることはご理解いただけたと思います。

第十四章冒頭の続き、ということでしょうか? 今まで延々としゃべっていたのはシルヴィーとブルーノではなくミステルだったと?


『シルヴィーとブルーノ完結編』第十三章 場面 訳・疑問
They took a little country-box--
A box at Covent Garden also:
They lived a life of double-knocks
Acquaintances began to call so:
フランスの伯爵が歌う「トトルズの歌」の歌詞。年千ポンドの収入があるトトルズは、結婚をして……。 小さな田舎家を手に入れた――
コヴェント・ガーデンにも家。
ダブルノックの人生を送り
知人がわんさと集まり始めた。

問題は「life of double-knocks」です。なんとなく「ノックするべき戸口=家が二つある」のような感じなのかなという気はするのですが、確信はありません。
↑「box」と「knocks」が「叩く」という意味でつながってることば遊びなのではないかというご指摘あり(「木場田」さんより)。 平仄を合わせて少しずつ改訳中。
"Contented with a frugal lot"
(He always used that phrase at Gunter's)
He bought a handy little yacht--
A dozen serviceable hunters--
the fishing of a Highland Loch--
A sailing-boat to circumvent it--
"The sounding of that Gaelic 'och'
Beats me!
" said Tottles (and he meant it).
上の詩の続き。 「倹約に甘んじろ」
(それがガンターで口癖だった)
便利な小型のヨットを買って――
便利なハンターたくさん――
ハイランド湖の魚釣り――
湖をぐるぐるまわる帆船――
「ゲールの『おお』の響きが
俺を打つ!」トトルズ(本気)

「ゲールの『おお』の響きが/俺を打つ!」がよくわかりません。
「Loch」と韻を踏むためだけに「och」という単語を使い、「och」を導き出すために「Gaelic」という枕詞(?)を使っているだけ=もともと意味不明なのかもしれません。←ということで今のところ納得いたしました。
「地味な生活に甘んじろ」/(ジミーのところで言ってたものだ)/手軽な帆船を一艘買って――/便利なハンターをひと揃い――/ハイランド湖の魚釣り――/ぐるぐるまわるヨットが一艘――/「ゲール人が『おっと』と叫ぶ/響きが聞こえる!」トトルズ(本気)

"Then you give him the money when he needs it no longer? And you make him live most of his life on nothing!" 三十年に及ぶ学歴の最後に奨学金を与えるのだと説明したミステルに対し、語り手が異議を唱える。 「ではその必要がなくなってからお金を与えるんですか? 人生のほとんどを無駄に過ごさせたことになる!」

「nothing」は、「無駄」ではなく「無一文」かなあという気がします。
↑やっぱこの「nothing」は「無駄」ではなく「何にもない」の意味ですね。


『シルヴィーとブルーノ』十四「ブルーノのピクニック」 場面 訳・疑問
So the Owls--the Chickens, I mean--were looking to see if they could find a nice fat Mouse for their supper--" シルヴィーがお話を聞かせる。フクロウは怖いからニワトリにして、とブルーノにお願いされてシルヴィーは。 それで梟は――鶏は、ね――探していたの、晩ごはんのために太ったおいしそうな鼠を見つけられ――」

「see」の意味がわかりません。ここでは一応「探す」と訳しておきました。
"But it might have wished to see if it could try to eat it."

"Well, it wished to see if it could try--oh, really, Bruno, that's nonsense! I shall go back to the Owls."
上の続き。ネズミじゃなくてウサギにしてよと頼むブルーノ。困るシルヴィー。 「でもウシギを食べようとすれば、見たがってたかもしれないよ」
「ええ、きっと見たがるわ、食べようとすれば――ちょっと、ブルーノ、そんなわけないでしょ! 梟に戻すから」

ここも「see」の意味がわからないのです。簡単な単語こそ辞書を引け、なのですが、しっくりくる訳語は見つかりませんでした。
↑あとの方で出てくる「want to see」の形で、英辞郎に見出しあり。「期待する」の意味でした。上の文もすべて「want to see」の変則形だと考えてよさそうです。「見たい、会いたい、理解したい、経験したい」すべての意味を込めて「〜したい」ということなのでしょうか。


『知りすぎた男』第八話「像の復讐」 場面 訳・疑問
but we knew where the enemy had pushed forward the great battery that covered all his movements; and though our friends from the West could hardly arrive in time to intercept the main movement, they might get within long artillery range of the battery and shell it, if they only knew exactly where it was. フィッシャーが機密文書の内容について説明しています。防衛だけではなく、攻撃も盛り込まれた文書なのだとか。 だけど展開作戦を援護する大砲隊を敵がどこに進めたかはわかっていたし、西側の同胞が本隊の迎撃に間に合いそうもなくても、場所を正確に知っていさえすれば、砲の射程距離内に入り爆撃することもできるんです。」

「cover=援護する」「movement=移動・展開」という軍隊用語をそのまま使ってみましたが、そもそもどことどこが戦争しているのかよくわかっていないので、それによっては意味が百八十度変わる恐れもあったりします。

少なくとも第四話の舞台は第一次大戦だと思うので、それ以後、というとアイルランドとの紛争? ずっとアイルランド=同盟国のつもりで本文を訳していたので、ものすごいとんちんかんなことになってるかもしれません。
↑ここはその後いろいろ調べたりご指摘があったり(「火曜日」さんより)で、どうやら一時大戦が舞台であり、西側というより西部ではないかなどなどあり、裏付け調査中。 少しずつ改訳中。


『シルヴィーとブルーノ完結編』第十二章「妖精の調べ」 場面 訳・疑問
"You know we've nearly found it!"Then, in a whisper, "The locket's in my hand, now. I couldn't get it out while they were looking!" フランスの声楽家にぴったりの歌を探そうとしているシルヴィーがブルーノに一言。手に魔法のロケット。 直訳すると「ほとんど見つかったのよ!」だけども……。
「ロケットがあるの。人前じゃ出せない!」
↑「火曜日」さんからのご指摘によりあっさり解決済み。↑ 見つけたようなものなんだけど!」それから声をひそめて、「ね、私が持ってるロケット、人前じゃ取り出せないのよ!」


『知りすぎた男』第六話「塀の穴」 場面 訳・疑問
The plantation stood dark against the fiery colors of sunrise, a black fringe having that feathery appearance which makes trees when they are bare the very reverse of rugged. 夜明けの森について。 まったくわかりません。theyは何を指すんでしょう。reverseって何でしょう。
↑「火曜日」さんからのアドヴァイスで、文章の意味はわかったけれど、日本語の文章にしづらい英文ですね、結局ぶつ切りに訳しちゃいました。解決済み 森林は燃えるような日の出とは反対に真っ暗にそびえており、裸の木々は骨張っているどころかその正反対、黒い縁取りが羽のような様相を見せている。
I haven't seem him about. ブレインが、クレインが怪しいとフィッシャーに言う最後のセリフ。
↑「seem」は「seen」の誤植ではないか、というご指摘があり、各種版で調査中(というと大げさですが)。


『シルヴィーとブルーノ完結編』第四章 場面 訳・疑問
"He's got him safe, by one foot!" cried Sylvie, who was eagerly watching the chase. "Now there's no hurry, Bruno!" リンゴ泥棒を追うブルーノとネロに、シルヴィーが言うセリフ。 "He's got him safe, by one foot!"がわかりません。「片足で彼を安全にした!」? 「片足で逃げたわ!」かな?
↑「火曜日」さん&「木場田」さんからのご指摘により解決済み。↑ 捕まえた、足をつかんだわ!
※片足だけが動かない、という後述の状況を考えたら、ここは「one」を訳出した方がいいのかもしれませんが、一応このように訳しました。
"The wrong trees!" laughed Sylvie. "Trees ca'n't do wrong! There's no such things as wrong trees!" ブルーノは戻したリンゴが「wrong tree」の下に行くのを心配してます。それに対してシルヴィーが言ったセリフ。 文法的におかしいということでしょうか? 日本語で「間違った木」と言っても、「別の木」みたいなニュアンスで特に問題ないように感じるのですが。
↑「火曜日」さんからのご指摘により解決済み。↑  「悪い木!」シルヴィーは笑った。「木は悪さできないわ! 悪い木なんてないの!」


『知りすぎた男』第五話「釣り人の習慣」 場面 訳・疑問
beside the lamp-post, the broad blue back of an unconscious policeman. 川下り中のマーチが、怪しい人物を見たあとの地の文。 「街灯のそばには、気絶した警官の青く広い背中があった。」
※警官のことは以後触れられることはなくって、なんでここにこんな文章が挟まってるのかよくわからないんだけれど、これでいいのかな?
↑「火曜日」さんからのご指摘により解決済み。↑ それに応じて前後の文も少し修正。 だがマーチは、自分が見た事実の重要性に少しも気づいていなかった。塀の向こうにある橋頭堡辺りの木立には街灯があり、街灯のそばには何も気づいていない警官の青く広い背中があった
Do you remember that silly talk about how old Isaac could always play his fish? In a pretty hellish sense he was a fisher of men."

Harold March took the oars and began to row again.

"I remember," he said, "and about how a big fish might break the line and get away."
フィッシャーがマーチに向かい「夕食の時のことを覚えてますか?」と尋ねています。 単に誤読しているだけでしょうか。
夕食の時にはマーチは到着していなかったなので、「覚えている」ことはできないはずです。
↑「木場田」さんからアドヴァイスあり。現実的なつじつまよりも物語の落ちを大事にしようと感じてここはこれでいいのではと思う。


『パーセルの書類』「ロバート・アーダー卿の運命」  場面 訳・疑問
Et sunt sua fata sepulchris. ダブリンの教会にあるロバート・アーダー卿の墓碑文。 ラテン語。???「And is its fate...」わからん……。
↑「李」さんから、「ラテン語を知っている方に直接聞いてみれば」とアドヴァイスをいただいたこともあり、一応解決。結局、恐れ多くもラテン語の教授に直接は聞けなかったのですが、ホームページに丁寧な「ラテン語の基礎」が公開されていたので、なんとか文法が理解できたのです
↑さらに「火曜日」さんからのご指摘で、「カタカナで表記する」というアイデアをいただきました。その方が外国語or古文っぽいですね。
「And there are his fates in sepulchre.」のような感じでしょうか。「さよう、死すべき定めだったのだ」とか。
日本では碑文なんて一般的じゃないから、どう訳したら墓碑文っぽいのか自信がありませんが。
結局こうしました→「而シテ彼ノ者ハ墓ニ入ルガ其ノ運命ナリ」。





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