『シルヴィーとブルーノ完結編』二十章 | 場面 | 訳・疑問 |
"Tell him yourself," said Sylvie "Ca'n't," said Bruno. "It's a bony word." "Nonsense!" laughed Sylvie. "You can say it well enough, if you only try. Come!" "Muddle--" said Bruno. "That's a bit of it." |
教授と tableをgo throughできると断言したブルーノだが、実はMultiplication-tableをgo throughできるということなのでした。 |
「おせーてあげて!」ブルーノはシルヴィーの首に腕を巻いてささやいた。 「自分で言いなさい」 「むりだよ、戦死語だもん」 「くだらない!」シルヴィーが笑った。「やってみさえすれば、ちゃんと言えるわよ。ほら!」 「かっせん――」ブルーノが言った。「すこしだけ」 「bony」の意味を「骨だらけ」と取ってみた。 |
今までずっと「九九を暗唱『できない』」だと思っていたのだが、実は「『Multiplication table(Muddlecome table)』という『word』を発音『できない』」のようです。 なぜなら「Multiplication table」というwordはやたら長くてごつごつ(bony)しているから。 この「Multi〜(Muddle〜)」は第一章にも出てきます。その第一章のことば遊びをうまく日本語で表わすために、wliderは「Multi(Muddle)」を「六の段(髑髏団)」と訳しました。 ところが「六の段(髑髏団)」という日本語は、ちっとも長くてごつごつしていません。 そこで、この場面は原文とはまるきり違った感じで訳しました。 「小骨が多くて喉につかえるから、発音したくないんだよ。発音できないわけじゃないからね」という、ブルーノのナンセンスな言い訳(負け惜しみ)だとお考えください。 |
「むり。こぼねが多くて」 「くだらない!」シルヴィーが笑った。「とにかくやってみなさい、ちゃんと言えるわよ。ほら!」 「どく――」ブルーノが言った。「こんなかんじ」 |
『タットとタット氏』「犬のアンドリュー」 | 場面 | 訳・疑問 |
A jury had been selected without much manifest attention by Tutt, who, had nevertheless managed to slip in an Abyssinian brother on the back row, and an-ex-dog fancier for Number Six. | 裁判所にて。 裁判が始まる前に、どんな陪審員がいるのか眺めるタット。 |
タットは特に注意もせずざっと陪審員を品定めしたが、後ろの列のアビシニア信徒と第六番の元愛犬家に対して、うまくチェックを入れた。 タットが陪審員を「選ぶ」わけはないから「選り好みする」→「品定めする」と訳したのですが、そうなると「slip」がわからなくなります。苦し紛れに「チェックを入れた」なんて訳しましたが。 アメリカって弁護士が陪審員を選ぶんですかでしょうか?はて? |
「あくまで素人」さんのアドバイスにより解決済み | タットがうっかりしているうちに陪審員が選ばれてしまってはいたのだが、それでもなんとか後列にアビシニア信徒を、陪審六番の代わりに元ペット業者を滑り込ませることはできた。 |
『森林探偵』第三章「ビッグ・トゥリー・〜」 | 場面 | 訳・疑問 |
"That the man who killed Lyon is thick-set and very strong; | ノーヴェンバーが手がかりから犯人像を推理する。 | 「リヨンを殺した男は、小柄で力持ちです。 後ろの方の文章でほかの人物と身長を比較する場面があるので、「thick-set」は「小柄・ずんぐり」でいいと思うのですが、小柄だと推理した理由が本文中に見つからなかったので。 |
『シルヴィーとブルーノ完結編』第十三章 | 場面 | 訳・疑問 |
"And the Man chuckled inwardly, and said 'Ten piastres the dozen I offer thee, and no more, oh descendant of a distinguished grandfather!' | 卵が千ピアストルだと言われた男が、十ピアストル以上は出さない、と言ったあとにひとこと。 | 男は密かにほくそ笑む。『一箱十ピアストル、それ以上は差しあげません。おお偉大な祖父の末裔よ!』 「騙されないぞ」とか「守ってください」とかそんな程度の意味なのかもしれませんが、英語ではこれに似た言い回しが元々あって、キャロルが大げさにパロってるのかなんなのか。 |
"And what guarantee have you that he retains the knowledge for which you have rewarded him--beforehand, as we should say?" | どんな場合であれ、三、四年経ったら試験をする、と言われてミステルが疑問を口に。 | 「教えた知識を覚え続けているどんな保証があります――前もって、言うべきように?」 後半がちんぷんかんぷんです。 |
『知りすぎた男』第六話「塀の穴」 | 場面 | 訳・疑問 |
and making a somewhat too familiar Shakespearean quotation about a rodent and a Venetian coin. | クレインにちょっかいを出すバルマーがシェイクスピアを引用する。 | 何というシェイクスピア作品のどんな場面なのか不明です。 |
『森林探偵』第二章「ノーヴェンバー・ジョー」 | 場面 | 訳・疑問 |
I'd sooner hunt a deer than a man any day. Makes a fellow feel less bad-like when he comes up with him. | 射殺体発見のニュースのせいで狩りが中止に。ノーヴェンバーのぼやき。 | 「he comes up with him.」(=彼が彼を発見する)が自信ないです。 「いつだって撃ちたいのは男じゃなくて鹿なのに。発見したって残念に思わないや。」 |
『パーセルの書類』「大酒飲みの夢」 | 場面 | 訳・疑問 |
You'll hardly believe me, your honour, that while I'm working, maybe a mile away, my heart is in a flutter the whole way back, with the bare thoughts of the two little steps I have to walk upon this bit of a floor. | コネルが階段を修理。 なぜ階段を修理するのか神父に説明しているコネル。 |
信じられんでしょうが、働いているあいだも、一マイル先からでもすっかり心が震え、このちっぽけな階段のこと、この床板の上を歩かなければならないということを、はっきりと考えるんです。 「the two little steps」の考え、とはなんぞや? 普通に読めば「床を歩かなければいけないtwo stepsの考え」となるのだけれど、それでは意味が通じないので、「〈two stepsのこと〉と〈床を歩かなければいけないこと〉についての考え」、と二つに分けてみたが納得いかず。 |
木場田さんのアドヴァイスもあり、何とかめどがつきそうです。目下改訳中。 →「the two little steps」=「ささいな手間」解決済み |
信じられんでしょうが、働いているあいだも、この床板の上を歩かにゃならんというくだらない考えが顔を出し、一マイル先からでも心は舞い戻っちまう。 |
『シルヴィー完結編』十四「ブルーノのピクニック」 | 場面 | 訳・疑問 |
I hung my head, and put a thumb into my mouth, to the evident delight of the little fellow. | ブルーノの思う壺にはまってがっくりした語り手の動作。 | ブルーノが大喜びしているのを見て、ぼくは指をかんでうなだれた。 「put a thumb into my mouth」がイディオムのような感じもするのですが不明。直訳「親指を口に入れる」。 |
木場田さんより「thumb」と「thump」が韻を踏んでいるのでは? とご指摘あり。「ぱくん」と「ドスン」と訳しました(全然韻を踏んでないかもしれませんが)。 03/11/23さらに訂正「ばくん」と「バタン」に変更。 |
ブルーノが大喜びしているのを見て、ぼくは指をばくんとくわえてうなだれた。 |