「わたしはすでに打電しましたよ、『華麗!』と」ハリー・ブラントが静かに答えた。英国ではどんな対象にも、賞賛を表現するのに特別な言葉は使わないのだ。
「ところがね」アシード・ジョリヴェはつけ加えた。「いとこに言わなきゃならないと感じて――」
「いとこですか?」ハリー・ブラントが驚いた調子で繰り返し、文筆業の同志をさえぎった。
「ええ」アシード・ジョリヴェは答えた。「いとこのマドレーヌですよ。ぼくが通信しているのは。いとこときたら早くて適切な情報が好きなもので。だから祝宴の間は、雲のせいで君主の表情に影がかかったなんて書かなけりゃならない」
「わたしには晴れわたっているように思えましたが」おそらくこの話題に真の価値が隠されていることを望んで、ハリー・ブラントは答えた。
「するともちろん、あなたは『デイリー・テレグラフ』のコラムに『晴れやかな』と書くんでしょうね」
「いかにも」
「ブラントさん、一八九二年にザクレットで何があったか覚えていますか?」
「もしそこにいたならば、よく覚えていたでしょうな」イギリス特派員は答えた。
「それから」アシード・ジョリヴェは続けた。「陛下に敬意を表して催された祝宴の最中に、ナポレオンがフランス軍の先兵を率いてネマン川を渡ったと、アレクサンドル帝に告げられたことを知っていますか。でも皇帝は祝宴を去りませんでした。帝国が彼を必要としているかもしれないという極度に重要な情報にもかかわらずです。不安を見せようとはしなかった」
「キーソフ将軍が、国境とイルクーツク政府との間の通信を断たれたと報告したときには、見せていましたよ」