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翻訳:東 照
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アルフレッド・テニスン「ゲライントの結婚」(1859,1886年)

ゲライントの結婚

勇敢なるゲライント、アーサー王宮廷の騎士、
デヴォン国の領主、
偉大なる円卓の騎士の一人は、
イニウルの一人娘、エニードと結婚し、
天の光を愛するごとく、妻を愛せり。 5
天の光の、日の出に、日の入りに、月や星またたく
夜に、変わるごとく、愛しきゲライントは
緋色に、紫に、宝石のごとくに、
日ごとに妻の美しさを変えつるを。 10
エニードは、財なき自分を
初めに見出し愛せる夫を
ただただ喜ばせんがため
日ごと新たな魅力を振りまけり。王妃もまた、
ゲライント公の働きをねぎらい、 15
エニードを愛しく思い、その白き御手で
装わせ飾り立てり。宮廷のうちでも
王妃に次いで、美しき者として。
そしてまたエニードも王妃を愛し、心より
王妃を敬えり、この世のなかで 20
もっとも威厳に満ち、もっとも美しき女として。
いと穏やか、いと近くにて二人を見れば、
二人の相愛の長きにゲライントも喜べり。
されど王妃に噂の立てり、
ランスロットと不義の恋を為し、 25
証拠はあがらず、世に広まりし
嵐のごとき囁きも聞こえねども、
ゲライントもその噂を信じけり。
グイネヴィアに愛情を抱ける
麗しき妻が、苦しみを覚え、 30
また何らかの汚名に苦しむことを恐れり。
かくしてアーサー王の御許に向かい、
かこつけて言いけるは、己が領地は
国境にほど近い土地に広がり、
そこには荒くれ伯爵、卑しき騎士、 35
人殺し、司直の手より逃れ、
法に背く者どものあまたおれり。
ゆえに王みずから望みて
王国の水脈より汚れを取ることを決めたまえ、
さすれば起ち上がる大義となり、 40
やましきことなく歩めらん。王は
ゲライントの陳情にしばし悩めども、ついに
許可を与えれば、領主とエニード、
及び五十の騎士たちもともに起ち、セヴァーンの
岸辺に向かい、彼らが領地に進みけり。 45
そこで考えけるは、いまだかつて妻の
夫に忠誠を誓いしあらば、我が妻こそそれならん、
と思いて敬意と崇拝もて
妻を包み、そばより離れざれば、やがて
王との約束も忘れ、 50
鷹のことも狩りのことも忘れ、
槍試合も馬上試合も忘れ、
みずからの栄光と名声も忘れ、
領土を統治することも忘れけり。
何もかも忘れつるをエニードは憎みし。 55
やがて人々の二人、三人寄りし折り、
また友人たちの集いし折りなど、
嘲り、冷やかし、さえずりて言うには、
かの男らしき領主はすでにおらず、
妻に目のなき軟弱なる凡人になれり、と。 60
エニードはこれを人の目つきより察するを得る。
エニードの髪を整えし側女たちも、
女主人を喜ばせけんと、夫のかぎりなき愛を
語れども、ただ悲しみを深くさせるのみ。
エニードは日ごとゲライントに伝えんと思えども、 65
気遣いゆえに思い切ることあたわず。
それゲライントは、妻の憂うるを見て、
妻の心にけがれありしかと疑いを深めり。

やがて、ある夏の朝のこと
(二人とも眠りし折り) 70
締め切った部屋の窓を旭日の叩きて、
夢のうちにて猛き勇者をじりじりとあぶれり。
朝日は伸びてかたわらのシーツを照らし、
節の割れた喉を日のもとにさらし、
四角く盛り上がりし厚い胸をあたため、 75
小川の底の小石が
その流れの激しきゆえに流されず留まるがごとく
隆起せる筋肉の波打つ腕に、光さすなり。
目を覚ませしエニードはかたわらの椅子に座り、
夫に見とれながら、心のうちに思いぬ、 80
これほど雄々しき男がかつていただろうか?
やがて影のように、人々の噂や、
妻にうつつを抜かすなる非難が
心をかすめ、夫の上に身を乗り出すと、
痛ましきみずからの心にささやけり。 85

「気高き胸と猛き腕もつ我がつまよ、
すべての種は妾でしょうか、あなたの力が失われたと
そろって人がなじるのも、みんな妾のせいでしょうか?
きっと妾のせいでしょうね、思ったことや
人の噂を、あなたに伝えぬ妾ですもの。 90
でもこの人がぐずぐずしているのも嫌なんです。
愛しているのは肩書でもなく名前でもなし。
妾が愛しいと思うのは、この人に馬具を用意して
ともに戦に向かっては、たくましき腕がうなりをあげて
雑魚や悪党をなぎたおすのを、 95
そばで見るのが好きなんです。
妾のせいで旦那様が恥に苦しむことよりは、
暗い地面に横たわり、
気高き声も耳に届かず、
愛しい腕ももはや曲がらず、 100
目から光も消え去る方が、どんなにか良いことでしょうか。
妾は図太い女です、黙って見ていることでしょう、
愛する夫が傷ついても、
この目の前で刺し殺されても。
それでもやっぱり思ったことを伝えることはできません、 105
雄々しい男が軟弱になったと言って
責め立てる人の噂を伝えることは。
こんな妾は忠実な妻とはいえないのでしょうか」

なかばひそかに、なかば口に出しつ、
感に堪えず、偽りなき涙の
夫の広き裸の胸にこぼれ落つれば、
夫は目を覚まして、不運にも
妾は忠実な妻ならんか、なる
最後の一言のみ聞きつる。
すなわち夫の思えらく、「かくも愛情を注ぎ、 115
かくも苦しみに耐えたるというに、哀れ、
妻は不義を働きしか。さてもアーサー王の宮廷で
陽気な騎士たちのため涙を流すを見たり」
されどひたむきに妻を愛し崇拝するゆえ、
妻が過ちを犯せるとは夢にも思えねども、 120
最愛の妻の麗しき顔を見て、
雄々しき胸はしかと痛みに貫かれ、
悲しくみじめな気持になれり。
かくて寝台より四肢を投げ出し飛び起きて、
従者を揺り起こして叫ぶは、 125
「馬を二頭用意せよ」。また妻に向かい、
「我は馬を駆って荒野に出かけん。
いまなお拍車を得んとせんと思わるるとも、
人の思いしほど落ちぶれてはおらぬゆえ。
そなたは粗末な服をまとい、 130
我とともに来い」。エニードは驚きたずねり、
「妾もしあやまたば、なにとぞ仰るべし」
なれど曰く、「我は命ずるのみ、問うな、ただしたがえ」
かくてエニードは色褪せし絹、
色褪せし外套、色褪せしヴェールのことを考えつつ、 135
杉製の箪笥に向かえり。
そこに夏の小枝とともに
うやうやしく畳みて仕舞いけるを、
取りいだ出して、支度をしながら、
夫が初めて訪れし折りに、このドレスを 140
まといたる妻の姿を愛でしことを思い出し、
ドレスのことでわけもなく怯えながら、
夫の伝えしごとく出かけたれば、
やがて宮廷に近づきたり。

聖霊降臨節前夜にアーサーは 145
ウスクのほとりカールレオンにて宮廷を開けり。
玉座に座りけるある日、
デーンの森番、森より出でて、
御前に来たるは、去る日、
誰よりも背の高き、白き牡鹿を 150
目撃せり。と、王に語りし。
かくて王は合図の笛を吹かせ、
翌朝に狩りをおこなわんことを告げし。
また、狩りを高覧せんと
申し出れば、すなわち認めらる。 155
かくて朝まだき、廷臣そろって発つ。
されどグイネヴィアは陽の高くなるまで
夢にまどろみ、愛しきランスロットを
夢に見て、狩りのことなど頭にあらず。
ようやく寝床より出ては、側女一人を連れて、 160
馬に乗り、ウスクを渡り、森に来たれり。
森のはずれの小丘にいまして、
猟犬の吠ゆるを待てど、猟犬にあらず、
蹄の音の聞こゆる、見ればゲライント公なり、
彼もまた遅れしに、狩猟服も着けず、 165
金の柄の剣を除けば武器も佩かず、
後ろより急ぎ浅瀬を渡り、
小丘を駆け上がりし。
紫の首巻きの両端に、
純金の林檎のはためかせ、 170
馬の歩みにあわせて揺らしながら、
二人の許にたどり着き、普段着の夏服にて
二人を爛々と見つめり。
領主、深々とお辞儀すれば、
王妃は麗しく気高く、 175
女らしく王女らしく淑やかに答えけり。
「遅し遅し。妾らより遅いとは!」
「王妃よ、確かに遅すぎました。
かくて陛下と同じく狩りを見に来れど、
参加はあたわず」「ならば妾とともに待て」 180
「では、ご指示がなくば、この丘の上にて、
猟犬の吠ゆるの聞こゆるを待たん。
ふもとにて犬たちの休めることあり」

やがて遠くより狩りの音の聞こえけり、
わけても指折りの声を持つ 185
アーサー王の猟犬、カヴァルの吠え声とともに
ようよう騎士、貴婦人、小人の登りけり。
しんがりをつとめるは小人にて、騎士は
面頬を上げ、若々しき顔を見せ、
傲慢にして尊大なる顔つきを見せたり。 190
グイネヴィアは、宮廷で
その顔に見覚えなき、名を知りたきと欲し、
側女に命じて小人にたずねさせり。
小人は意地悪く年老いた癇癪持ちにて、
主人にも増して傲慢ゆえに、 195
知ったことかと冷たく答えけり。
「では本人に聞きましょう」と言いければ。
「無理だね。わかりっこないさ」と小人は叫びて、
「あんたにはご主人たまのことを口にする価値すらないよ」
側女が馬を騎士に向ければ、 200
小人は鞭にて側女を打ちしに、側女は憤慨して
王妃の許に戻れり。ゲライント憤りて
「必ずや名を聞き出さん」と叫び
小人をねめつけ、たずねれど、
小人は前のごとく答えり。領主ゲライント 205
騎士に向かいて馬を進めんとすれば、
小人が鞭にて打ちすえるに、頬破れけり。
領主が血潮、首巻きにほとばしりて、
染めにけり。我知らず手の素早く動き、
剣の柄に手をかけ、騎士を廃さんとす。 210
なれど雄々しきことかぎりなく
清らかにして気高き気性の持ち主ゆえ、
かくも虫けらのごとき者に腹立てるも腹立たしきに、
言葉さえ惜しみ、戻りて曰く。

「必ずやかかる侮辱をそそぐべし、 215
陛下の側女になされしは陛下ご自身にひとしきこと。
我はこの虫けらを大地に叩きのめさん。
武器を持たず来たるといえども、
これよりいずこかにて、武器を借り受け、
もしくは購いて手に入れて見せん。さすれば 220
あの騎士と戦いて、奴の誇りを打ち壊さん、
三日ののちにはここに戻るゆえ、
我の戦いに敗れざるを見たまえ、さらば」

「さらば、ゲライント公」王妃は気高く答えけり。
「武器を得るに幸あれ。 225
そなたの愛するものに光あれ、
そなたが初めて愛せし娘と婚姻を結びたまえ。
すでに婚姻をなせどもかまわぬ。花嫁を持て。
それが王の娘であれ、
藪より這い出し乞食であれ、 230
妾はその花嫁に太陽のごとき衣装を着せん」

ここにゲライント公は、追い詰められし
牡鹿の声を聞き、遠く角笛を聞きながら、
成果あがらぬことにいらだち、
足場の悪さにいらだちながらも、 235
山越え谷越え、草原を越え、
峡谷を越え、目を光らせて三人を追いけり。
三人はついに森の世界を抜け、
見晴らしよき平坦な尾根に登りて、
空を仰ぎて、腰を降ろせり。 240
彼方より来たるゲライントが見下ろせば、
細長き谷間に小さき町の横たわりて
細長き通りのあるに、そのかたわらに、
石工の手になる白き砦のそびえけり。
またかたわらには、水少なき谷に 245
架けられし橋の向こうに、さびれた城のあり。
町と谷より、砂利だらけの
川床を洗う川のせせらぎの、
あるいは遠くより深山鴉のかまびすしきを聞きて、
三人は夜の宿を求めんとするか。 250

三人が砦に向かい馬を進め、
門をくぐるを、壁の先にて見失いけり。
「奴の地元まで奴を追いし」とゲライントは考えけり。
かくて長き通りを倦み歩き、
宿を探せば、いずこよりも
蹄を打つ音して、主人の鎧を 255
せわしなく探す若者の口笛の
熱き高き音す。若者の一人に
たずねて曰く、「この町の騒ぎは何ぞ?」
手を休めぬまま答えて曰く、「小鷹スパロウ・ホークなり!」 260
やがて、汚れて傾いだ梁にぶつかり
穀物袋の下で汗を流せし
老農夫の後ろに馬を進めれば、
ふたたび何の騒ぎかと問いかけり。
農夫ぞんざいに答えるは、「おう! 小鷹スパロウ・ホークなり」 265
さらに馬を進めれば目の前に、武具商の
背中を見せて仕事に顔をうつむけ、
膝の上で兜の鋲を打ちたるを見て、
同じ問いをすれど、男は
振り向きも目を上げもせず言いて、 270
「兄弟よ、小鷹スパロウ・ホークのために忙しきゆえ
問いに答える暇もなし」
ここでゲライントは短気を発し、
小鷹スパロウ・ホークなぞ餌にでも食われてしまえ!
小鳥も鷦鷯も翼のある馬鹿どもは寄ってたかってつつき殺してしまえ! 275
こんな田舎町のおしゃべりや
つぶやきがどうだというのだ! 俺に何の関係がある?
腹の立つ小鷹どもめ、誰も彼も、
小鷹の話しか口にせぬ!
ほかの奴らのような鷹気違いではないのなら、 280
我らがいずこで夜を過ごせばよいか教えてみよ。
それに武器、武器、敵と戦う武器はどこだ? 言え!」
武器商が驚き振り返りしに、
紫の絹衣を着たる力みなぎりし男の
兜を手にして近づきつるを見て 285
答えり。「これは失礼、見知らぬ騎士殿。
明日の朝ここで手合わせがございますゆえ、
半端仕事にさえ時間が足りませぬ。
武器? さよう! 知りませぬ。何もかも足りぬものばかりで。
宿屋? さようさよう、知りませぬ、ただし、 290
もしかするとあの橋を渡った
イニウル伯爵のところなら」と話して仕事に戻れり。

かくて不機嫌さめやらぬゲライントは馬を進め、
水少なき谷に架けられし橋を渡れり。
そこに白髪頭の伯爵、座して黙せるが 295
(その服はかつては祝宴に相応しきとも
今はその豪華さも色褪せ擦りきれたる)口を利けり。
「お若いの、いずこへ?」。ゲライント答えて曰く、
「おゝ友よ、夜の宿を求めて来たれり」
するとイニウル、「ならば我が家に来たれ、 300
かつては豊かながら今は貧しき
ささやかなもてなしなれど、今も昔も客人は拒まぬ」
「かたじけなし」とゲライント答えり。
「夕食に小鷹を供すことなからば、
おじゃまして、一日食わぬよな 305
食欲もて、いざいただかん」
すると白頭の伯爵は息をついて微笑み、
答えて、「老生には貴殿にも増して
小鷹を憎む動機あり、あの鳥こそ木立をついばむ盗人なれ。
とにもかくにもお入りなされ。貴殿が望まぬかぎり、 310
冗談の種にすら小鷹の話はいたすまじ」

かくてゲライントは城の中庭に馬を入れ、
石くれの上に咲きし、棘ある星のごとき
アザミを馬にて踏み潰せし。
見れば見渡すかぎりさびれけり。 315
崩れたアーチには羊歯がはびこり。
塔の一部は崩れ落ちて、
崖より転がりし岩のごとし、
野生の花と戯れし岩のごとし。
頭上には塔の階段が一部のみ、 320
ふもとは朽ちて今や沈黙し、
太陽のもとにてうねり、忌まわしき蔦の
髪の毛のごとき腕もて灰色の壁に這い、
岩に食い入り、その下を見れば
蛇の群れ、上には葉叢の繁れり。 325

城の中庭で待ちしあいだ、
イニウルの娘エニードの歌う声、
ホールの開いた窓越しに清らかに
響きけり。甘き鳥の声を
孤島に漂着せし人の聞きしごとく、 330
このいと清らかなる歌を歌いしは
いかなる鳥か、いかなる羽根、
いかなる姿をしけるかと、心を動かす。
いざエニードの甘き声、ゲライントを動かせり。
朝まだきに海へ出し男の 335
愛しき音色の漂い、
風かおる波を越えて
ブリテン島に運ばれしを、
緑と赤なす四月の木立より聞きて、
友との会話をやめ、 340
あるいは仕事の手を休めて
「あれこそナイチンゲールなり」と考えるがごとし。
その声を聞きしゲライントも、かく考えり。
「あれこそ我がための声なり」

そのときエニードが歌いしは、 345
はからずも運命と車輪の歌なりけり。

「回れ、運命よ、車輪を回し、驕りを捨てよ。
激しく車輪を回せ、太陽も嵐も雲も抜けて。
車輪にも汝にも、愛も憎しみも我らは抱かぬ。

「回れ、運命よ、車輪を回せ、微笑でも冷笑でも。 350
激しく車輪を回せ、我らの進む道が上でも下でも。
我らの蓄えは少なけれど、我らの心は大きかりけり。

「微笑めば我らも微笑まん、国々の主よ。
眉ひそめても我らは微笑まん、この手の主よ。
人は人にして、己の運命の主人なれば。 355

「回れ、運命よ、車輪を回せ、群衆の上で。
車輪と汝は、雲間の影なり。
車輪にも汝にも、愛も憎しみも我らは抱かぬ」

「ほれ、鳥の歌声を聞けば巣の在処も知れよう」
とイニウル言いて、「いざ入りたまえ」と誘えば、すなわち、 360
近ごろ落ちたる石の山を越えて、
薄暗き屋根に蜘蛛の巣の張りしホールに入れば、
おぼろな錦のうちに年老いし女性を見つけたり。
そのそばに、色褪せたつぼみを
軽やかに破りし赤白の花のごとく、 365
色褪せた絹に身をまといし美しきエニード、
老婆の娘のおりけり。ゲライントの考えけるに、
「神の導きによりて我のためにここに一人の娘あり」と。
されど白頭の伯爵のほかは言葉を口にせず。
「エニード、騎士殿の馬の庭にあり。 370
馬小屋に連れて行き、餌をやりてのち、
町まで行きて、肉と葡萄酒を購いたまえ。
あたうるかぎり楽しまん。
我らの蓄えは少なけれど、我らの心は大きかりけり」

と言いけり。領主、エニードが通りかかるに、 375
あとを追いかけんとすれば、紫の首巻きを
イニウルがつかみて、曰く、「しばしお待ちを!
この家はさびれしといえども落ちぶれず、
客人に何かさせるなど言語道断」
ゲライントこの家の習慣を尊重し、 380
恭しく答えて、しばし待てり。

かくてエニードは馬を馬小屋に入れたり。
その後、橋を渡りて、
町に行きけるあいだ、領主と伯爵は
ともに語らいしに、歓迎の意を表す、
肉と葡萄酒、壜を持ちし若者をしたがえて、
エニード戻りけり。
また喜ばせけんとケーキを買い、
ヴェールに白パンを包みし。
かくてホールは台所にも 390
なり、肉をゆで、食卓に広げ、
後ろに立ちて、三人に給仕せり。
その甘く献身的たるを見て、
その手が皿の上に動かされしとき、
ゲライントは顔を降ろし、 395
親指に口づけしたき衝動にかられたり。[*1]
されど食事が終わると、ゲライント
葡萄酒にて血のほてるを感じて、
目はさまよい、
やがてエニードの手仕事の上に目を留め、 400
ここかしこと薄暗きホールをさまよいけり。
やがてふと白頭の伯爵に言えり。

「寛大なる主の伯爵殿、お願いがございます。
この小鷹スパロウ・ホークとは何者にございましょうか?
やつの名は? いや、いや、それを得まじ。 405
先ほど会うた騎士のことだとするなら、
やつはこの町のそばの、石工の手になる
あの新しき白き砦に馬を進めけるゆえ、
あの者の口から聞き出さん――我はデヴォンの
ゲライント――王妃が今朝 410
側女を遣わして名をたずねけるに、
あのちんちくりんの小人めに、
鞭で打ちすえられ、側女は憤りて
王妃のもとに戻りけり。かくて我は
この悪漢をどこまでも追いかけ、 415
戦いを挑みて誇りをへし折り、その名を得んと誓いけり。
されど武器を持たず外出せしゆえ、この町で
武器を得んとすれば、住人はみな熱狂せり。
町中が粗野にざわめき、
その波のそこここに響きけり。 420
誰も我が話を聞かず。なれどもし
武器のありか知るか、汝みずから武器を
持ちたらば、我に告げん。あの者の
驕りをへし折り、その名を聞き出し、
王妃を侮辱せし仇討を為すことを誓う」と。 425

するとイニウル伯爵叫びて、「するとそなたであったか、
ゲライント、たっときおこないの
あまねく知られし男なるか? なるほど確かに
橋の上にて初めて見たとき、
なにものかを感じけり、キャメロットの 430
アーサー王宮廷にて食事をせし
人々の物腰、態度をそなたに見出せり。
くだらぬお世辞にはあらず。
この娘はそなたの武勲を
始終ほめそやし、我は時折り 435
聞き返しては、その話を聞くのが楽しみとなれり。
悪きおこないを知らぬたっとき心には
たっときおこないの評判こそ聞こえけれ。
あゝこの娘ほど求婚者に請われし
娘はあらじ。初めはリムール、 440
喧嘩と酒にあけくれし人間にて、
求婚せしときすら酒を飲めり。生死など
知らぬが、未開の土地に向かえけるとぞ。
二人目はそなたの敵、小鷹スパロウ・ホーク
我が仇敵、我が甥――やつの名前など 445
何があろうとこの口から洩らすまじ――
荒々しく凶暴なるを知りたるゆえ、
結婚を断れば、やつの誇りが目覚めけり。
傲慢な者の残忍なること世の常なれば、
父が金を残せしを、我が貯め込みて 450
やつに与えざるとの根拠なき噂を、
世間の耳に植えつけ吹きこめり。
我が家のしもべに大いなる約束をして
買収するも容易し。我が家は
来る者を拒まずもてなしけるに、 455
財産もあらかた底をつきけるがゆえ。
エニードの誕生日前夜、町の者たち
我に向かいて蜂起し、家を略奪しけり。
我が伯爵領より不当にも追放されり。
心より我のことを思いし我が友人たちを 460
示威せんとあの新しき砦を建てり。
やがて我をこの廃城に押し込め、
死ぬまでここに閉じ込めんとすは、
自惚れ強きやつめの我を嫌うあまりなり。
また我も己を嫌うことあり。 465
ゆえにしもべたちには好きなようにさせり。
優しさゆえに、暴力を用いざりき。
我の卑劣なるか男らしかりけるか、
賢かるか愚かなるか知らず。
ただ我の知るは、悪しきことの 470
我に起こりしということのみ、
心身ともに苦しむを得ず、
ただひたすら耐え忍ぶのみ」

「我言し通り」とゲライント曰く、「武器のあらば、
汝が甥スパロウ・ホーク、 475
明くる試合に臨まば、我やつの誇りへし折らん」

イニウル答えるは、「武器はあれども
古くさびけり、ゲライント公、
問いに答わば、我のものはそなたのものなり。
なれどこの試合は男が戦うにあらず、 480
競うのは騎士の愛する娘なり。
野原に二本の叉を立て、
その上に銀の棒を据え、
その上に金の小鷹スパロウ・ホークを置きて、
その娘のもっとも美しきに賞を与えるなり。 485
かくして野原にいるいずれの騎士も
かたわらの娘のために名乗りをあげ、
我が甥に戦いを挑めども、
やつは武器と肉体に恵まれしゆえに、
つねにかたわらの娘に勝利を与え、 490
宿敵どもを打ち倒せるがゆえ、
スパロウ・ホークの名を欲しいままにす。
なれど娘なきそなたは戦うことあたわず」

これにゲライントは目を輝かせ、
身を乗り出して答えるは、「なにとぞ、 495
空いている槍を我に貸したまえ、
我はこの世のあらゆる美女を、
目にして来たれども、汝が娘ほどの
美女はどこにもなく、これほど美しき娘に未だ会わず。
我がもしこの娘の名を貶めけるとも、 500
ふたたびその汚名は晴れん。なれど
我の生きて死力を尽くすとき、天の我を助けん、
この娘を我が妻と為さんがためなり」

すると耐え忍びしイニウルの心も
胸のうちで踊り、よりよき未来を夢想し、 505
周りを見れば、エニードはおらず、
(自分の名を耳にしてそっと離れけり)
そこで老夫人に優しく
手を重ねて言えるは、
「母よ、娘は繊細なり、 510
説得するのがよきことなり。
そなたはもう休むがいい、休む前に
娘に伝え、娘の気持を領主に証明いたせ」

心優しき伯爵にこう言われ、
老妻は微笑みを浮かべうなずきて席を立てり、 515
休めと言わるれどそれは無言で拒みけり。
初めに娘の頬に代わる代わる口づけし、
次に輝かしき両の肩に手を置き、
そのまま娘の顔を見つめ、
食堂にて話されしことをすべて伝え、 520
娘の心を確認す。されど荒天の下
開けし大地に光と影の交互に現るも、
母の話を聞きしエニードの顔に
赤らみ青ざむるに勝ることなし。
うろこの落ちるがごとくゆっくりと 525
少しずつその重みを悟るに、
麗しき頭を優しき胸にうずめぬ。
目も上げず言葉も口に出さず、
怯えと喜びに心奪われし。
感動のあまり就寝の挨拶もせず 530
休むこともせず、夜のしじまの
ごとく血を静めることもできず、
ただ分不相応な喜びにもの思いす。
やがて青ざめ血の気なき東の方より
太陽のせかされ、昇りけるころに、 535
母もまた起きて、手に手に二人して
試合のおこなわるる野原に向かい、
イニウルとゲライントを待てり。

やがて彼方より二人現れれば、ゲライントは
エニードが野原にて待てるを真っ先に気づき、 540
彼女こそ力に相応しき褒美、
何者にも負けずイドリスの椅子山を
動かすべしと思えり。イニウルのさびた武器を
高貴な身体に携えけれど、その
高貴なるを通してその物腰の輝けり。やがて 545
歴戦の騎士、淑女、来たりて、やがて
町よりあふれ来て、試合場を囲みけり。
そして地面に叉を立てて、
その上に銀の棒を据え、
その上に金の小鷹を置きけり。 550
やがてイニウルの甥、喇叭の鳴らされければ、
かたわらの婦人に向かいて宣言せるは、
「進みて取らん、もっとも美しかるとて、
この二年に及びて汝のために勝ち取りし
美の褒美を」。ここでゲライント口を開き、
「待たれい。さらに相応しき者おらん」。騎士は
驚きて嘲りも三重にして振り返り、
四人を見れば、その顔じゅうが
ユールの火の中心のごとく燃え上がり、
興奮に火をつけられて叫びけり、 560
「しからば戦わん」とのみ。
三たび戦を交え、三たび槍を折る。
互いに馬より引きずり下ろし、互いに
幾度も攻撃を重ねれば、群衆ども
驚嘆し、周囲の壁よりちらほらと 565
やがて幽霊の手になるがごとく拍手の届きけり。
さらにふたたびまみえ、ふたたび一服すれど、
その大仕事のしずく、その猛き肉体の血潮、
なおも巡りて、二人の力を吸い尽くしけり。
されど二人の力は拮抗するに、ついにイニウル叫びて、 570
「王妃を侮辱せしことを忘るるな」
これにゲライント力づきて、刃を持ち上げ、
かぶとを割きて、骨を砕き、
敵を打ち倒し、胸を踏みつけ
「名を申せ」と言へり。倒れし男は 575
うめきて答え、「エデルン、ネッズの息子なり!
悔しくも恥ずかしながらこの名を告げん。
我が誇りは破れり。我の打ち倒さるるをみな目撃せり」
「ならばエルデン、ネッズの息子よ」とゲライント答えて、
「これより二つのことを為せ、さもなくば死を。 580
一つ、汝みずから婦人と小人を連れて、
アーサー王の宮廷に赴き、
王妃を侮辱せし許しを請い、
その裁きを待て。二つ、
汝が伯爵領を親族に返還せよ。 585
この二つを為さねば、死を選べ」
エルデン答えて曰く、「その二つを為さん、
いまだかつて負けたことなき我を
汝は打ち負かし、我の誇りは
砕け散り、それをエニードに見られしに!」 590
やがて立ち上がりてアーサーの宮廷に向かえば、
王妃はすみやかに許しけり。
まだ若きゆえ、改心し、造反の罪を
憎むようになれば、かつての暗き人生より
徐々に輝きを取り戻し、ついには 595
王のために大戦にて倒れぬ。

なれど狩りの朝より三日ののち、
一面の薄曇りにて、翼が
蔦を揺らせしころ、エニードは
薄黄色の光のなかに美しき頭を横たえ、 600
鳥たちの影の舞い踊るなか、
目覚めて、昨晩ゲライント公に
約束されしことを考えけり――
ゲライントはこの三日目を心待ちにせしゆえ、
約束を受けるまではエニードを離すまじ―― 605
今朝も宮廷に馬を進めれば、
そこで気高き王妃の知るところとなり、
華やかなる婚姻のあらん。
エニードはドレスに目を落とせど、 610
これほどみすぼらしきと思えることもなし。
それは十一月の葉の、
十月に見るがごとく、
いま見たるドレスの
ゲライントの到着前に見たるドレスと思えり。
なおも見つめければ、ますます恐れは大きくなり、615
宮廷の人々が色褪せた絹をまといたる己を見つめるてう
不思議に輝く恐ろしき事実を思えり。
そして心にそっとつぶやきけり。

「我らが伯爵領を取り戻せり気高き領主、
そのおこないとよそおいの素晴らしき、 620
いとかぐわしき騎士の、名誉を汚すことにならん!
しばらくここに留まることはできようが、
領主に恩義を受けければ、
妾らからは何の厚意も与えぬるを、
ただ三日目の来たることを欲し、 625
その手に第二の誉れを求めけり。
なれど一日か二日のみ留まりて去らば、
妾の目はかすみ、指は萎えようとも、
名誉を汚すよりは遙かに嬉し」

かくてエニードはドレスを願えり、630
金の枝と花で飾られし、高価な贈り物を
母にねだれば、誕生日の前夜に
贈られけるは、悲しき三年前のこと、
火の夜、エデルンが家を奪いて、
風を切って撒き散らせし夜のことなり。 635
母がドレスを見せければ、二人は
ドレスをためすすがめつ感嘆し、
その素晴らしき仕事に見とれつるを、
エデルンの部下どもの叫びがあがりければ、
わずかな宝石の蓄えを持ちて逃げけるは、 640
それを売りてパンを購うためなり。
エデルンの部下ども逃げたる家族を捕らえ、
廃墟に押し込めけり。かくてエニードは
領主と会いしときはかつての家にいたしと願う。
やがて過去に思いをはせ、 645
勝手知ったる心地よき場所をさまよう。
ついに見慣れた懐かしき我が家のそばの
金の鯉の泳ぐ池のことを考えたり。
磨きあげられた池のなかにあって、
それは継ぎもあり、くすみ、つやのなき池なり。 650
なかばまどろみつつ、それらと
色褪せし己や、明るき宮廷を
比較しては、ふたたび眠りに落ちたり。
やがて磨きあげられた池のなかにあって
色褪せし己の姿を夢に見ぬ。 655
なれどもところは王の庭。
池にあさましく横たわれども、
すべてが輝きぬを知る。周りには
金の格子柄の鳥たちが夏の羽を打つ。
一面が芝生に覆われし区域には 660
それぞれガーネットやトルコ石のごときもの見えたり。
宮廷の貴族貴婦人たち
銀の衣まといて世間話などしつつ来たり。
王の子どもたちは金の衣まといて
入口に目を向けまた歩きつつ飛び跳ねけり。 665
エニードの思えるは「誰も妾を見まじ」、
気高き王妃来たり、その名もグイネヴィア、
金の衣まといたる子らの
駆け寄りて叫びけり、「我ら魚を飼わば
みな金になさん。いま庭師に言いて 670
色褪せたる魚を池よりさらわせ、
死にたるを積み上げさせん」
さらに一人来て王妃に飛びつくを、
エニード心より目を見張りて、
愚かなる夢に圧倒されん、 675
すると見よ! 母が揺り起こし、
エニードを目覚めさせん。手には
輝かしき衣装をつかみ、長椅子に
横たわりけるを、歓喜して曰く。

「見よや、エニード、このきれいな色を、 680
水に浸かりて波に洗われし
貝殻のごとき色の、かくも速やかに再現されし。
如何せん? まだ色褪せてはおらず。
これがわかれば我に聞かせたもう」

エニードも目を向けれど困惑し、 685
愚かな夢とうつつの区別もままならず。
やがて不意に理解して喜びぬ、
「わかりたもう。贈り物なり。
あの災難の夜に失われしものなり。
母上ご自身の贈り物なり!」「ほんに」と母も答え、 690
「かかる幸せな朝に見つかるとはありがたし。
昨日の試合が終わりてのち、
イニウルが町に行きて、いたるところを探し、
我らの家より略奪されしものの
町中の家に散らばりしを見つけたり。 695
かつては我らのものなりしものを
すべて我らに返さんと命ずるなり。昨夜、
汝が領主と愛しげに語らいつるあいだ、
これを届けし人のいて、我に手渡せり、
愛とも恐れとも好意とも知らぬが、 700
伯爵領の我らに戻りけるがゆえなり。
昨夜は汝に告げざりしが、
朝がけに驚かせて喜ばせんがため。
如何ならん、嬉しき驚きを感じけるや?
我は心ならずも色褪せし服を 705
まとい、汝もそれに倣い、
耐えに耐えて、イニウルも倣いぬ。
今はイニウル、立派な家より、豪華な衣装の山を
我にもたらしぬ、また豊かな食事、
小姓、女中、従者、執事、 710
狩猟には鷹と犬のいずれもありて、
気高き暮らしを過ごすためにはすべて揃いぬ。
イニウルは我に立派な家を与えけり。
かつて運命は日向より日陰に移ろい、
若き裏切り者のために残酷な仕打ちを 715
強いられけれど、ついに転機は来たりぬ。
かくなるうえはこの服を着たまえ、
戻りし財産と領主の花嫁に相応しきなり。
汝がもっとも美しき栄冠を手にせしとも、
汝がもっとも美しきと呼ばれるのを聞きしとも、 720
どれほど美しかろうとも、古き服をまといたるより、
新しき服をまといたる娘の美しきこと、考えるまでもなし。
宮廷の貴婦人たちに、領主は
藪よりみすぼらしき駒鳥を得しと言われ、
狂人が宮廷に駒鳥を連れて来たりと囃されて、 725
恥をかくのはもちろん、恩義を受けたる
領主にまで恥をかかすことにならん。
なれどこの子はきれいに着飾れば
どの国のどの宮廷の婦人にも負けぬことは我が知りし。
女王エステルの光に照らされし 730
いにしえの国を見渡しても同じこと」

ここで母は話をやめ静かに息を吐けり。
エニードは横たわりしまま喜びて聞けり。
やがて白く輝く明け方の星の
雪の土手より昇りて、徐々に 735
金色の雲間に流れるを、娘は立ち上がりて
寝椅子を離れ、服を着けり。
母は優しく手を貸し、またその目を
鏡の代わりと為し、きらびやかな衣装を着せけり。
終われば娘に振り返りて曰く、 740
この半分ほどにも美しき娘を見たことなし。
物語のなかでグウィディオンが
花の魅力より作りしかの娘のごとく思い、
そのためにローマ王がブリテンに侵入せし、Flur、
カッシウェラウヌスの花嫁よりも 745
かぐわしき、「なれど我らは追い返すまじ、
かの偉大な領主が我らのもとに侵入しようとも、
追い返すまじ、歓待して、
慣れぬ馬に乗りて汝とともに宮廷に向かわん。
我は年老い、道は険しく荒し。 750
されどイニウルは行き、我もまた夢に見ゆ、
我が姫様が、今見たるごとく
我が贈りたる衣装を着て、華やかに囲まれて華やげるを見るのを」

だが女たちが喜びけるあいだ、ゲライントは
夜を過ごせしホールにて目覚め、エニードを 755
求めければ、イニウルの知らせけるは、
よき母がエニードにドレスを
着せて喜ばせけるに、我が姫様に
よく似合い、気高き女王のごとし。
……… 760
(以下、省略)
………

……… 849


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[註釈]
*註1 [その手が皿の上に……]。ルイス・キャロル『シルヴィーとブルーノ完結編』17章に引用された箇所。→こちら。[

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