この翻訳は翻訳者の許可を取ることなく好きに使ってくれてかまわない。ただし訳者はそれについてにいかなる責任も負わない。
翻訳:東 照
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ジョゼフ・バルサモ

アレクサンドル・デュマ

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第三十四章 ヴォルテールとルソー

 既にお話ししたように、リュシエンヌの寝室は、造りといい調度といい素晴らしいものだった。

 東向きのその部屋は、金張りの鎧戸と繻子のカーテンでしっかりと覆われ、陽射しがご機嫌取りのように大小様々な隙間から潜り込むまでは、完全に光を遮っている。

 夏には、何処とも知れぬ通気口から、幾千もの扇であおいだような柔らかな風が空気を揺らした。

 国王が青の間から出てきたのは十時のことだった。

 今回は供の者たちも九時から庭で待機していた。

 ザモールが腕を組んで命令を出している。あるいは出しているふりをしている。

 国王は窓から顔を出し、出発の用意を眺めた。

「どういうことだね、伯爵夫人? 朝食は取らぬのか? 国王を空きっ腹で帰らせたと言われるぞ」

「とんでもない! でもてっきりマルリーにはサルチーヌ殿とご一緒するのかと思ってましたけど」

「まさか! ここに会いに来るようサルチーヌに伝えられるとでも? こんな近くに」

「自慢する訳じゃありませんけど」伯爵夫人が微笑んだ。「そう思ったのは陛下が最初ではありませんの」

「それに、朝は仕事をするにはもったいない。朝食にしよう」

「でも署名はしていただかなくては」

「ベアルン夫人の件かな?」

「ええ、そうすれば日にちもはっきり出来ますし」

「日にちだと?」

「それに時間も」

「何の時間だ?」

「認証式の日時です」

「いやもっともだ、認証式か。日取りはそなた自身で決めるがよい」

「出来るだけ早い内に」

「もう準備は済んでいるのか?」

「ええ」

「三段の礼のやり方も覚えたのかね?」

「ちゃんと出来ますわ。一年間も練習したんですもの」

「ドレスは?」

「二十五時間あれば用意出来ます」

「代母は?」

「一時間後にここに」

「ふむ、では取引だ」

「何の?」

「ジャン子爵とタヴェルネ男爵の事件は今後一切口にせんで欲しい」

「泣き寝入りしろと?」

「まあそういうことだ」

「わかりました! もうそのことは口にいたしません……日取りは?」

「明後日」

「時間は?」

「通例通り夜十時に」

「決まりね?」

「決まりだ」

「王のお言葉ね?」

「貴族の言葉だ」

「お手をどうぞ」

 デュ・バリー夫人が美しい手を伸ばすと、国王はそれに手を重ねた。

 この朝、リュシエンヌ中が国王の満足感に浸されていた。しばらく前から譲歩しようと考えていたある点では譲歩したものの、別のある点では譲らなかったのだ。大成功だった。ピレネーかオーヴェルニュで湯治するという条件でジャンに十万リーヴルを与えれば、ショワズールの目には追放だと映るだろう。貧しい者たちにはルイ金貨を、鯉には菓子を、ブーシェの絵には讃辞を与えた。

 前の晩に夜食を堪能したというのに、朝食を食べる気も満々だった。

 そうこうしている内に十一時が鳴ったところだ。伯爵夫人は国王の世話をしながら、なかなか進まない柱時計をちらちらと脇見していた。

 国王はとうとう自ら、ベアルン夫人が来たなら食堂に招いてもよいと口にした。

 珈琲の用意が出来、味わい、飲み干しても、ベアルン夫人は来なかった。

 十一時十五分、馬が駆ける音が響き渡った。

 デュ・バリー夫人は急いで立ち上がり、窓に駆け寄った。

 ジャン・デュ・バリーからの使いが、汗まみれの馬から飛び降りていた。

 伯爵夫人は恐れおののいた。だが、国王に気分よくいてもらうためには、わずかなりとも不安を表に見せるべきではない。夫人は席に戻った。

 間もなく、手紙を手にションが入って来た。

 尻込みは出来ない。読むほかない。

「それは? 恋文かね、ション?」国王がたずねた。

「そんなとこです」

「誰から」

「子爵からです」

「間違いないね?」

「お確かめになって」

 筆跡には見覚えがあった。手紙はラ・ショセ事件のことかもしれない。

「よかろう」国王は手紙を返した。「もういいよ」

 伯爵夫人は気が気ではなかった。

「あたくし宛てですの?」

「その通りだ」

「構いませんか……?」

「もちろんだ! 読んでいる間はションがコルボー先生を聞かせてくれるだろう」[*1]

 国王はションを引き寄せ、ジャン=ジャックが書き残した通りの王国一調子っぱずれな声で歌い出した。

 尽くしてくれるひとを失った。
 幸運をすっかり失くしてしまった。
[*2]

 伯爵夫人は窓際に戻って読み始めた。

『あの糞婆は当てにするな。夕べ足を火傷したと抜かして、部屋に引き籠もっている。よりにもよって昨日のあのタイミングで帰ってきたションに感謝しようじゃないか。それだけのことはしてくれた。婆さんがションに気づいたんだ。とんだ喜劇だよ。

 すべての元凶のジルベールのガキがいなくなった。幸運な奴め。そうでなきゃ首をねじ切っていたところだ。だが今度会った時には、どれだけしおらしくしていようとも見逃してやるものか。

 結論を言う。急いでパリに来てくれ。さもなきゃ俺たちは昔に逆戻りだ。ジャン』

「どうしたのだ?」急に青ざめた伯爵夫人に驚いて、国王が声をかけた。

「何でもありません。義兄が容態を知らせてくれただけ」

「よくなって来ているのだろう?」

「よくなっていますわ。ありがとうございます、陛下。それより、庭に馬車が到着したみたいですけど」

「代母の伯爵夫人ではないかね?」

「違うわ、サルチーヌ殿ね」

「では?」デュ・バリー夫人が戸口に行ったのを見て、国王がたずねた。

「では、陛下はあちらにどうぞ。あたくしはお化粧に参ります」

「するとベアルン夫人は?」

「いらっしゃったら陛下にご連絡差し上げます」伯爵夫人は手紙を丸めて部屋着のポケットの奥に突っ込んだ。

「では余は追い出されるのかな?」国王は嘆息した。

「陛下、今日は日曜日です。ご署名を!……」

 伯爵夫人が瑞々しい頬を差し出したので、国王は右と左に盛大に口づけした。それが終わると夫人は部屋を後にした。

「署名なぞ糞食らえだ。それに署名をもらいに来る奴らときたら! 大臣や書類入れや用紙など発明したのは何処のどいつだ?」

 悪態を吐き終わった途端、伯爵夫人が出ていったのとは反対側の扉から大臣と書類入れが入って来た。

 国王は最前よりもさらに大きな溜息をついた。

「ああ、そなたか、サルチーヌ。時間に正確だな!」

 国王の口調からは、果たして褒めているのか貶しているのかを推しはかるのは難しかった。

 サルチーヌ氏は書類入れを開き、中から文書を取り出そうとした。

 その時、馬車の車輪が並木道の砂を鳴らすのが聞こえた。

「待ってくれ、サルチーヌ」

 国王は窓に走り寄った。

「何だ? 伯爵夫人が出て行ったのか?」

「ご本人ですね」

「だが、ベアルン伯爵夫人を待っていたのでは?」

「待っていられず、迎えにおゆきになったのではないでしょうか」

「しかし今朝ここに来る予定なのだから……」

「陛下、恐らくいらっしゃることはないでしょう」

「ほう、何か知っているのか、サルチーヌ?」

「すべて知っているわけではありません。それでご満足していただけるでしょうか」

「何が起こったのだ? それを言い給え」

「老伯爵夫人にでしょうか?」

「そうだ」

「どんな時にも起こり得ること。障碍が立ちふさがったのです」

「そうは言ってもやって来るのだろう?」

「それが陛下、昨夜ならともかく今朝はどうでしょうか」

「伯爵夫人も気の毒に!」そうは言いながらも、目に喜びの光がきらめくのを防ぐことは出来なかった。

「ああ。四国同盟や家族協定など、認証式の問題に比べれば些細なことでした」

「気の毒に!」と繰り返して首を振った。「あれの望みは叶わぬのだな」

「遺憾ですが。陛下もさぞやご立腹でございましょう」

「あれにもわかっておるのだろう」

「伯爵夫人にはなお悪いことに、王太子妃殿下の到着前に認証式が行われなければ、二度と行われない可能性がございます」

「可能性どころか、サルチーヌ、そなたの言う通りだよ。嫁御は厳格で敬虔な淑女という噂だ。気の毒に!」

「認証式が行われぬのをデュ・バリー夫人がお嘆きになるのはもっともですが、陛下にとっては心配の種がなくなることにもなりましょう」

「そう思うか?」

「間違いありません。妬み屋、毒舌家、諷刺家、ごますり屋、お喋りどももそれほど現れぬでしょうし。デュ・バリー夫人が愛妾になられた場合、警察活動にはさらに十万フランかかります」

「そうだな! 気の毒に! それでもあれは認証式を望んでおる」

「陛下がお命じになれば、伯爵夫人の望みも叶いましょうに」

「どういうことだ、サルチーヌ? 正直に言って、こんなことに口を挟むことが出来るとでも? デュ・バリー夫人をそっとしておけという命令に署名出来るとでも? 伯爵夫人の気まぐれを満足させるためにクーデターでも起こせというのか?」

「とんでもありません! 私が言ったのはただ陛下の『気の毒に!』のようなものです」

「そうは言うものの、まだ希望がない訳でもない。いろいろな可能性を考えてみ給え。ベアルン夫人が意見を変えないとも限らぬ。王太子妃が遅れぬとも限らぬ。王太子妃がコンピエーニュに着くまでまだ四日ある。四日あれば、何か出来るだろう。ところで、今朝は仕事があったのではないかね?」

「そうでした! 署名を三つだけお願いします」

 警視総監は書類入れから一つ目の文書を取り出した。

「待て! 封印状か?」

「はい、陛下」

「誰宛てだ?」

「ご覧になって下さい」

「ルソー氏宛てだ。このルソーとは何だ? 何をしたのだ?」

「何を? 『社会契約論』です」

「ああ! ジャン=ジャック宛てか? では投獄するつもりかね?」

「そんなことをすれば大騒ぎになります」

「いったいどうしたいというのだ?」

「いずれにせよ投獄するつもりはありません」

「それではこの文書は無意味ではないか?」

「保険でございます」

「何にしても、哲学者どもなど大嫌いだ!」

「それはもっともなことでございます」

「だが非難されはせぬか。第一、パリで暮らすことを許されたのではなかったか」

「許しはしましたが、人前に姿を見せないという条件付きです」

「で、姿を見せたと?」

「それしかしておりません」

「あのアルメニアの恰好で?」

「ああ、いいえ、あの服は脱がせました」

「言う通りにしたかね?」

「ええ、迫害だと喚いていましたが」

「では今はどんな恰好をしているのだ?」

「ごく普通の恰好でございます」

「ではさして大事ではあるまい」

「陛下、自由に出歩くのを禁じられた人間が、毎日何処に出かけるのかお分かりになりますか?」

「リュクサンブール元帥のところ、ダランベール氏のところ、デピネー夫人のところかね?」

「カフェ・ド・ラ・レジャンスです! むきになったように毎晩チェスを指して、負けてばかりいます。我々としても家に押し寄せた群衆を見張るために、毎晩一旅団の人員を割かざるを得ません」

「そうか、パリっ子は思ったより間抜けなのだな。好きなようにさせておけ、サルチーヌ。そうしている間は、あの者たちも貧困を叫んだりはせぬ」

「わかりました。ですがロンドンにいた時のような演説をしようとした日には……?」

「そうだな、公に罪を働いたのであれば、封印状の必要もあるまい」

 国王はルソーの逮捕には直接関わりたくないのだ。それを悟った警視総監は、それ以上には強辯しようとしなかった。

「それでは陛下、別の哲学者の話がございます」

「まだあるのか?」国王はうんざりしていた。「もう哲学者とは縁を切ろうではないか?」

「何を仰いますか! 向こうの方で縁を切ってくれぬのではありませんか」

「それで話とは?」

「ヴォルテールのことです」

「ヴォルテールもフランスに戻ったのか?」

「そうではありません。或いはそうしてくれた方がありがたいのですが。そうすれば監視はしておけますから」

「何をしたのだ?」

「本人は何もしていません。やったのは支持者たちです。彼の像を建てるというのは見過ごせません」

「騎馬像を?」

「そうではありませんが、ヴォルテールが有名な侵略塔だということを申し上げているのです」[*3]

 ルイ十五世は肩をすくめた。

「あれほどの侵略者ポリオルケテスは見たことがありません。あらゆるところに通じています。陛下の王国の第一人者たちも、まるで闇業者のように彼の本を流通させているくらいです。先日は八箱差し押さえました。いずれもショワズール殿宛てでした」

「それは面白い」

「陛下、君主にだけ許されていることが彼のために行われているのだということを、今一度お考え下さい。民衆たちは像を建てることを決めたのです」

「君主の像を建てるのを決めるのは民衆ではないよ、サルチーヌ。君主自身が決めるのだ。ところでその傑作の作者は誰だね?」

「彫刻家のピガールです。型を取るためにフェルネーまで出向いていました。そうしている間にも署名が殺到しております。既に六千エキュに達しましたが、いいですか、寄付出来るのは文学者だけなのです。みんなお布施を持って行くんです。あれはお参りですよ。ルソー氏も二ルイ納めました」

「ふむ! どうせよと言うのだ? 余は文学者ではない。無関係ではないか」

「こんな出過ぎた真似を中止させようと陛下に伺いに参ったのですが」

「慌てるな、サルチーヌ。銅像の代わりに黄金像が建つだけだ。放っておけ。いやはや、銅像はさぞかし実物以上に醜いのだろうな!」

「では事態をこのまま泳がせておくのがお望みですか?」

「話し合おうではないか、サルチーヌ。望んでいるのは言葉ではない。一切を止めさせたいのはもちろんだ。だがそなたの望みは何だ? 不可能なことではないか。神が海に『此を越ゆべからず』[*4]と命じたように、国王が哲学者の心に口を挟める時代などとっくに去った。叫んでも無駄だ、打っても届かぬ、我々が無力なことを見せるだけだ。見方を変えよう、サルチーヌ、見ぬふりをするのだ」

 サルチーヌは溜息をついた。

「陛下、この者たちを罰さぬまでも、せめて銅像は壊しませんか。これはすぐにでも訴訟を起こすべき著作の一覧です。玉座を脅かすものもあれば、祭壇を襲うものも。これは謀叛であり、涜神でございます」

 ルイ十五世は表を取り上げ、気乗りしない声で読み上げた。

「『神聖なる伝染 あるいは迷信の自然誌』、『自然の体系 あるいは物理的世界と精神的世界の法則』、『神と人間』、『イエス・キリストの奇跡に関する論文』、『聖地に向かう Perduicloso に対するラグーザのカプチン会修道士の助言』……」[*5]

 国王は半ばまで読まずに紙を捨てた。いつもなら落ち着いている顔に、不思議な悲しみと落胆の色が浮かんでいた。

 しばらくの間、まるで心神喪失状態で、夢見たようにぼうっとしていた。

「これは世間が立ち上がるだろうな」国王は呟いた。「別の方法がいくらでもある」

 サルチーヌが国王を見た。この飲み込みの速さこそ、国王が大臣たちに求めているものだった。大臣が優秀なら、国王は考えたり動いたりしなくてもよい。

「平穏ですか?」今度はサルチーヌが口を開いた。「陛下は平穏をお望みなのですね?」

 国王は大きくうなずいた。

「ああ、そうだ! ほかに何がある。哲学者、百科全書派、魔術師、光明会徒、詩人、経済学者、三文文士、何処からともなく湧き出して、うごめき、書き記し、鳴き喚き、人を腐し、何かを企み、説教をし、叫んでいる奴らだぞ。奴らのために戴冠したり、像を造ったり、神殿を建てたりする者たちも、余のことはそっとしておいてくれる」

 サルチーヌは立ち上がり、一礼すると、口の中で呟きながら退出した。

「この国の貨幣に『主よ王を守り給へドミネ・サルヴム・ファク・レゲムと書かれてあって何よりだ」

 一人残された国王は、ペンを取り王太子宛てに書いた。

『王太子妃の到着を急がせろと言っていたな。そなたを喜ばせてやろう。

 ノワヨンで車を停めるなと命令を出しておいた。だから火曜の朝にはコンピエーニュに着くだろう。

 余もちょうど十時に、つまり王太子妃の十五分前には行くつもりだ』

「これで認証式のくだらぬごたごたも片がつく。ヴォルテールやルソー、過去や未来の哲学者たちよりしんどかったわい。こうなれば後は気の毒な伯爵夫人と王太子夫妻の問題だ。その通り。悲しみ、憎しみ、復讐なぞ、一つ丈夫な若者の心臓にでも押しつけてしまおう。若者は苦悩を覚えるもの。そうやって大きくなるのだ」

 こうして難題を退けたことに満足し、パリ中の話題となっている認証式を進めようと止めようと咎められる者など誰もいないことを確信すると、国王は馬車に乗り込み、廷臣が待っているマルリーに向かった。


Alexandre Dumas『Joseph Balsamo』Chapitre XXXIV「Voltaire et Rousseau」の全訳です。


Ver.1 09/10/10
Ver.2 12/09/25
 


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[訳者あとがき]

 ・09/10/10 ▼次回は10/24(土)更新予定。

 ・10/02/06 ▼『村の占い師』の内容からすると、「J'ai perdu mon serviteur」というのは「召使い」ではなく「尽くす人」のようなので、そのように改めた。

[更新履歴]

・12/09/25 「そうしている間にも予約申込みが殺到しております。既に六千エキュに達しましたが、いいですか、予約出来るのは文学者だけなのです。」 → 「そうしている間にも署名が殺到しております。既に六千エキュに達しましたが、いいですか、寄付出来るのは文学者だけなのです。」に訂正。

*1. [コルボー先生]。Maître Corbeau(カラス先生)。ラ・フォンテーヌの寓話「カラスとキツネ」より。[]
 

*2. [尽くしてくれるひとを失った/幸運をすっかり失くしてしまった]。ジャン=ジャック・ルソーの歌劇「村の占い師(Le Devin du Village)」の一節。[]
 

*3. [侵略塔/侵略者]。それぞれ原文は「preneur de villes」「Poliorcète」。「preneur de villes」とはヘレポリス、攻城塔のこと。映画『ジャンヌ・ダルク』などにも登場していた移動式の塔型兵器。逐語訳すると「町の占領者」。「Poliorcète」とは「攻城者」のこと。逐語訳すると「町を包囲する者」。攻城戦が得意だったマケドニア王デメトリウスの通称でもある。原文は大文字なので固有名詞扱いか。わかりづらいので「侵略塔/侵略者」とした。[]
 

*4. [此を越ゆべからず]。ヨブ記38:11。「8 海の水ながれ出《い》で、胎内より涌きいでし時誰が戸をもて之を閉ぢこめたりしや/9 かの時われ雲をもて之が衣服《ころも》となし、黒暗《くらやみ》をもて之が襁褓《むつき》となし/10 之に我 法度《のり》を定め關《くわん》および門を設けて/11 曰く此《こゝ》までは來《きた》るべし此《こゝ》を越ゆべからず、汝の高浪こゝに止《とゞ》まるべしと」[]
 

*5. [『神聖なる伝染……』]。※それぞれドルバック、ドルバック、ヴォルテール、トマス・ウールストン、ヴォルテールの著作。ただし最後の本のタイトルは正確には『Instruction du gardien des capucins de Raguse à frère Pédiculoso, partant pour la Terre sainte』。[]

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