1951 | The Black-Eyed Stranger 『黒い目をした見知らぬ男』 | |
・短めの長篇。 | ||
邦訳 | なし |
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あらすじ | Alan DulainとKay Salisburyは婚約者同士。元新聞記者のSam Lynchはひょんなことから、ギャングのAmbielliと子分のBaby HhenbaumがKayの誘拐を企んでいるのを、耳にしてしまう。誘拐計画を人に教えたことがばれれば命を失うために、Samは具体的なことは伏せてSalisbury家の者に誘拐計画を知らせるが、信用してもらえない。そこでSamはKayをドライブに誘い、そのまま連れ出してしまう。Salisbury家の者たちがKayが誘拐されたと信じ込むなか、Ambielliたちが身代金を要求してくる。かくして二つの思惑による「誘拐」が動き出した……。 |
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解説 | はからずも「誘拐」犯と身代金要求者が違う――という、裏から書けばそれはそれで面白いサスペンスになりそうなのにな、という内容を、表から書くのがアームストロングらしいところではあります。身の危険が迫っているのを本人(たち)に信じてもらえない――というのも、アームストロング作品で繰り返されることになるパターンです。 ただし、本書のヒーロー役はほぼ赤の他人ということで、強引な手段を用いざるを得なくなるという点が特徴となっています(し、そもそもヒーローではありませんね)。Sam Lynchから見れば誘拐犯とSalisbury家の二つを相手にしなくてはならず、そうした四面楚歌のままどうすることもできません。 そんなわけで「誘拐」してからはほとんど引き籠もってしまって動きがなく、心理的な葛藤もいまいち掘り下げられず、銃撃戦(?)となるクライマックスも何となく終わってしまい、盛り上がりに欠ける作品となってしまいました。 |
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amazon書影は Genuine Pocket Book 版。 |