1963 | The One-Faced Girl 『裏の顔のない少女』 | |
・中篇。イノセントな田舎娘が巻き込まれるサスペンス・コメディ。 | ||
邦訳 | なし |
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あらすじ | Suzan Millerは田舎の山から出てきた何も知らない20歳の女の子。化粧の仕方も「男は狼」の意味もアパートの隣人に教えてもらった。定時に帰ることも知らないので、勝手に残業していると、社長のShankと「パートナー」Kirbyの会話を聞いてしまった。実はKirbyは裏稼業の賭博場のパートナーなのだが、Shankが政界進出を狙うにつき、互いの立場を確認していたのだ。だがそこは世間知らずの女の子、会話の内容はちんぷんかんぷん。そうとは知らないShankたちは、Kirbyの部下PetersonにSuzanの跡を尾けさせる。ところがSuzanはPetersonの尾行に気づいて本人に理由を問いただす始末。翌日にはShankに向かってPetersonの素性と昨夜の会話について無邪気にたずねるものだから、とうとう自宅に連れ込まれることに……。さらにはPetersonが警察のスパイだと気づいたKirbyが、車に時限爆弾を仕掛け、Suzanもろとも爆発させようとする。 |
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解説 | 田舎出の無知で生真面目な女の子がイノセンスに周囲を振り回してどんどんドツボに嵌ってゆくという、コメディの一つのパターンを踏襲した作品で、長さが短いこともあってサスペンスはあまりなく、どちらかといえばコメディと捉えるべきでしょう。 わたし個人はこうした「無知=デリカシーのなさ」みたいな作品があまり好きではないので、ちょっと点が辛くなってしまいます。 タイトルは「Two-Faced(二面性のある)」のもじり。といって、「一面的な」では否定的だし、「裏表のない」では作品の最後にある「one-and-only faced」と呼応しないので、ひとまず『裏の顔のない少女』と仮題しておきます。 年表などでは単著扱いされていますが、かなり短い中篇です。いったい初版・初出がどういう形で出たのか気になりますが、よくわかりませんでした。 |