なお、宮廷の侍従長は、やっかいで気の使う職務を申し分なくこなしていた。皇子と副官、侍従や他の廷臣たちは、パートナーをとっかえひっかえダンスをしていた。ダイヤを身に付けた皇女や、優雅な衣装の侍女たちは、古代「白石都市」の軍人や文民高官の妻たちも見習うほどだ。そんなわけで、『ポロネーズ』の合図が大広間に鳴り響いたとき、あらゆる階級の来客がそのリズミカルな行進に参加した。この種の宴では、国際的なダンスの必要がある。様々な衣装、レースつきの裾の長いローブ、仕立て品の制服が、壁を飾る無数の鏡で無限に増えたシャンデリアの光に照らされたまばゆく華麗な舞台に現れた。
大広間は新王宮のなかでも最もすばらしい場所だ。名士や、自信に満ちて着飾った女性たちの列ができている。豪華な天井は、時の侵食ですでにめっきがふやけていたが、まるで星が輝いているかのようだ。カーテンやドアの刺繍された垂れ幕が、緞子の影でかたどられた贅沢で虹色をした豪華なひだに落ちている。
大きな半円の窓を通して、光が大広間に満ち、大火のごとき輝きが照らす。数時間闇に覆われていた新王宮が、生き生きと輝き始めた。ダンスに参加しなかった来賓の気持は、その差異に引き寄せられた。窓のそばで休んでいると、暗闇の中にぼんやりと、古代都市のような無数の塔や丸天井や尖塔の輪郭を見ることができた。彫飾りのあるバルコニーの下には、あちこちと歩き回っているたくさんの歩哨が見える。肩にまっすぐライフルを掲げていて、ヘルメットの留め金が、宮殿から漏れるきらめきで、炎のように輝いていた。巡視の歩みもまた、大広間の踊り手たちの歩みよりも規則正しく、石畳に時を刻むのが聞こえる。時々、持ち場から持ち場へ合言葉が繰り返される。時折ラッパの音が、響き渡る楽団の調べと混ざり合う。遠くの正門の闇が、新王宮の窓からもれる光によって覆われた。川の流れをボートがくだっていた。わずかなランプでかすかに照らされた水流は、テラスの下部に打ち寄せている。
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