これら二人の男のうち、一人はイギリス人でもう一人はフランス人であり、二人とも背が高く痩せていたが、後者は南プロヴァンス人のように血色が悪く、前者はランカシャー州の紳士みたいに赤ら顔だった。アングロノルマン人は、形式的で、冷淡で、まじめで、感情表現に乏しく、規則正しく動くバネの作用でのみ話したり動いたりするようであった。ゴール人はというと、正反対で、活発で気短で、口、目、手を同時に使って表現し、話し相手がコチコチの定型化された頭脳をたったひとつ持っていたのに対して、二十の違った方法で考えを説明した。
 彼らに見える強い差異は、ずさんな観察者をもすぐさま印象づけただろう。が、すぐそばで注視していた人相見は、もしフランス人が「目」であり、イギリス人が「耳」であるならば、と言うことによって、彼らの特徴を定義した。
 実際のところ、そのものを見る器官は、習熟によって類い希に完成されていた。網膜の感覚は、トランプの山をカットする素早い動きや、他人には見えないマークの配列だけでカードを見分ける奇術師と同じくらい素早かった。そのフランス人は実に「視覚記憶」と呼ばれる高度なものを持っていた。

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