1933年 | Dunky Fitlow | |
・コッパード第八短篇集。全15編。 | ||
邦訳 | 短篇集としては未訳。収録作のいくつかは邦訳あり。 | |
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『イギリス怪談集』(河出文庫)[amazon]に邦訳あり。 |
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人が亡くなったとき、大事なのは遺された人たちの気持です。正論を口にしても、ときに「そんなことを言えば故人は悲しみますよ」と、故人をダシに発言を封殺される。単なるわがままや故人への冒涜はいけないけれど、習慣や遺志を理由に遺族の気持を無視していい理由もない。アベルは「眠りにつく」という言葉が気に入らなかった。「眠ったのなら明日には起きるはずじゃないか。彼女は死んだんだ」というのは心の叫びです。讃美歌を聴いて涙ぐむ妻に我慢がならなかった。「感傷的だったんじゃない。もろかったんだ」「二言目には『彼女はこうだった』『彼女はああだった』と言うが、俺は彼女とは違う」。忌日に自分の意見を貫く夫と習慣や故人の遺志を主張する兄。どちらが本当に悲しんでいるのかなど一概にはいえないし、そもそもどちらがより悲しんでいるかなどと考えること自体が意味のないことです。だからこそ、いろいろな悲しみ方があっていいし、それを否定すべきではないはずです。 アベルの出てくる後半はシリアス臭が強くなりますが、前半で描かれる酒場の雰囲気に“イギリスのバーテンと常連さんってホントにこんな感じだったんだろうな”というのが伝わってきて味わい深いものがあります。 |
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