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 作品紹介
1838 Pauline 『ポーリーヌ』
 
邦訳 『ポーリーヌ』(近代文芸社)小川節子訳
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アルフレッドが私に打ち明けたのは、驚くべき話だった。――修道院の廃墟で夜を明かしたとき、物音が聞こえた気がしたんです。近くで殺人と強盗があったと聞いていたのでぞっとしました。月が出たときに男の姿が見えたのです。翌朝たずねてみると、隣にあるのはオラース伯爵邸でした。ポーリーヌの夫です! 思わず駆けつけた僕に飛び込んで来たのは、ポーリーヌが死んだという報せでした。ところが死体の顔はポーリーヌのものではありませんでした。なぜ伯爵は嘘をついたのだろう……僕はまた修道院に行くってみることにしました。すると女性の叫び声がしたのです……。

 語り手が友人から話を聞くという枠物語形式といい、友人と謎めいた婦人を見かける冒頭といい、深夜の修道院で目撃した穏やかならざる出来事、勇敢な紳士の裏の顔、病身ならぬ毒に犯された恋人との悲恋などなど、ですます体の訳文と相まって、豪快なデュマからは想像もつかないようなロマンチシズムあふれる作品です。その一方で、誘拐した女性や決闘相手に悪役が見せる奇妙な騎士道精神めいたものに、デュマらしい侠気がのぞいていたりもしました。



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