New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典
HOME  翻訳作品  長谷雄目次  戻る 進む

長谷雄草紙

―はせをさうし―


其の八

翻刻
このおとこは朱雀門の鬼なりけり。女といふは、もろ\/の死人のよかりし所どもをとりあつめて人につくりなして、百日すぎなばまことの人になりてたましゐ〔ママ〕さだまりぬべかりけるを、くちをしく契をわすれてをかしたるゆへ〔ママ〕に、み〔な〕とけうせにけり。いかばかりかくやしかりけん。

 

画像をクリックすると拡大表示します51KB 64.0kbpsで約5秒とほんの少し重いです)
※JavaScriptをOnにしてください。

長谷雄草紙19


現代語訳
この男は朱雀門の鬼であった。女というのは、さまざまな死者の優れたところを寄せ集めて人間として造りあげて、百日が過ぎれば本物の人間になって魂が定まるはずであったのを、残念なことに約束を無視して契りを交わしたせいで、みな溶け失せてしまったのだ。どれほどの後悔であったことか。

画像
 画面下部に水たまりのような水色の広がりがある。空にも同じような水色の広がりがあることから考えて、これはどうやら霞や靄、あるいは深夜の暗闇または夜明けの様子を表しているようだ。(染みではないと思うが……)。夜明けならぬ天神さまのご加護の光、あるいは鬼が逃げ去る人外を表現したものか。
 男が穿いていた白黒ツートンカラーの袴、不思議な柄だと思っていたのだが、実は黒い袴の下から白い下着がはみ出していたものだと、ここに至ってわかる。

HOME  翻訳作品  長谷雄目次  戻る 進む
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典