以下の物語で説明される迷信についてひとこと言っておく必要があるだろう。すなわち、埋葬されたばかりの死体には、しばらくの間、煉獄の燃えさかる渇きを癒すために、彼の眠る墓地に知人が真水を供える決まりがあるのだが、これは南アイルランドでは一般的なことだ。
 ティパレアリ界隈の立派で裕福な農場主に起こった事件を挙げておく。亡き妻の魚の目を気遣っていたので、棺に二足の革靴を入れた。軽いのと重いのと。ひとつは晴れの日用、もうひとつはぬかるんだ日用だ。水を手に入れ煉獄の渇いた魂を潤すためにさまよい歩く不可避の苦労を和らげようと、そんなものを探してきたのだ。荒々しくやけっぱちな争いは、互いに同じ墓地を申し込んだ二つの葬儀のあとに起こった。死者の墓の優先権や、新参者のありきたりの権利に課された税金の当然の免除を確保しようとお互いが尽力したのだ。ことが起こってからいくらも経たぬうちに、一方の参列者が、亡き友への計り知れない利益が失われることを恐れて、近道をして墓地に進んだ。強い偏愛による違反行為によって、現に棺は教会にほったらかしで、残りの時間は門を抜けた入り口を作るのに費やされた。同じような無数の例が引用され、南部の農村にはこうした迷信がいかに強く抱かれているかを明らかにしていた。


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