「さあ、あなた、さっきの続きだ、あるときそのお城の家族が一週間か二週間ダブリンに滞在したんだ。いつものように、何人かの農夫がお城で寝ずの番をした。三日目の夜、ぼくの父の番がやって来た。『ああ、この、ちぇっ!』自分に向かって言うと、『徹夜だな、さまよえるふるきたましいよ、神に栄光あれ』と言ったんです、『家の中にセレナーデが流れている、いたずらかなにかだろうか?』だけど、仕事から逃れるわけにはいかない、だからゆうかんな顔つきになると、密造ウイスキイと聖水を持って闇の中へ進んでいきました。
「雨が激しく降っていて、夜は陰気で暗澹としていた、そんなときに父は乗り込んでいった。雨に降られ、おまけに自分に振りかけた聖水ときては、れいせいになろうして、ウイスキイを一口のみほすまで長くはかからなかった。ドアを開けたのは、馴染みの使用人ローレンス・コナーでした――彼と父はいつだってとびきり偉大だつた。だからそれが誰だかわかると、父は城の見張り番での状況を話し、一緒に寝ずの番をしようと申し出たんです。そのとき父はおそらく申し訳ないと思ってませんでしたね。だからラリーは言ったんです。
「『我々は応接間で火に当たっていましょう』と。
「『なぜホールじゃないんです?』と父が言った、応接間には地主の絵がかけられていることを知っていましたからね。


HOME   翻訳作品   戻る  進む