「『ホールでは火を熾せないんです』とローレンスは言った、『煙突に黒丸鴉のやつの巣があって』
「『ああ、くそ』父が言った『調理場に寄ろう、応接間に座るにはおれというやつは貧しすぎるんでね』
「『ああ、テリー、だめです』ローレンスが言うんだ。『伝統を守るのならば、より適切に守らなければ』
「『伝統なんて悪魔が掃いて捨てちまえ!』父が言った――自分に向かって、ですよ、だって怖がっているのをローレンスに見られたくなかったから。
「『ああ、わかったよ』と父は言った。『そうしよう、ローレンス』と言うと、二人とも調理場へ降りていつたんです。
「でね、あなた、二人はすぐにまた登つてくると、応接間の火に当たりたいそうくつろいで腰をおろし、話をして、煙草を吸い、ウイスキイをほんの一口のみ始めた。それから、足を暖めるため、木炭や泥炭で激しい火を熾したんです。
「そいで、ね、ひどく快適に煙草とおしゃべりを続けたってわけです、ローレンスが眠たくなるまでは、当然さ、年を取った使用人なんだから、深い眠りの谷に落ち込んじゃった。
「『だめですよ』と父が言った、『眠くなったんじゃありませんか?』