「『えっ、ちっとも』ラリーが言った。『目を閉じているだけですよ』、『たばこの煙のにおいを締め出そうとね、うるおわせているんです』、『他人のことは気にしないで』と言ったんです、断固としてね、丈夫な肝臓の持ち主でしたからね(魂よ安らかに)、『話を』、『続けましょう、聞いていますから』目を閉じたままそう言ったんです。
「でね、議論するのは無駄なことだって悟った父は、話を続けたんだ。そうしたわけで、話したのはジム・スーリヴァンとおじいさん山羊の話です――楽しい話――いい気分てんかんでしたよ、眠気を覚ますのにはね、子羊を眠らせなかった。だけど、なんだな、父が話したやり方ってのが、いまだかつて聞いたこともないと思うな、あらゆる言葉をわめき散らしたんだ、まるで人生におきざりにされたみたいにね、ラリーは目を覚まし続けるハメになったよ。だけど、どっこい、無駄だった、こえがかすれてきて、話が終わる前にラリー・オコナーはバグパイプみたいないびきをかき始めたんだ。
「『ああ、くそ、ちくしょう』父は言った、『こいつは困ったな』、『この老いぼれめ、友達ぶりやがって、こんなふうに寝ちまった、二人そろってゆうれいのでるこんな部屋にいるのか』ってね。『こんちくしょう!』そう言った。それからローレンスの目を覚まそうと揺り動かしたんだけど、起きていようってことをちゃんとおぼえてたなら、きっと寝床から出てきたんだろうけどね、父はかんぜんに一人ぼっちになって、ますます不安になるばかり。