この原著の著作権は消滅しています。訳者の翻訳権は放棄しています。訳者・著者に許可を取ることなく商業・非商業ともに自由にお使い下さい。ただしその結果生じたいかなる責任も訳者は負いません。
翻訳:江戸川小筐/ご意見・ご指摘などは
こちら
まで。
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典
HOME  翻訳作品   戻る  進む

エミリー・ディキンソン詩集

 ※2010年現在入手しやすいディキンソンの邦訳詩集には、『自然と愛と孤独と』シリーズ(正[bk1amazon]、続[amazon]、続々[amazon]、第4集[bk1amazon])、岩波文庫『対訳ディキンソン詩集』[bk1amazon]、海外詩文庫『ディキンスン詩集』[bk1amazon]があります。これに未収録のものを中心に訳載してゆく予定です。
 ※ちなみに邦訳されている詩の番号一覧は→こちら

詳細目次

0002 どんなときでもうららかな
0004 この大いなる海を
0005 春のあいだは鳥が
0007 家路につく人々の足取りが
0008 ある言葉は/佩いている剣で
0009 小径を通って――茨を通って――
0010 わたしの舵輪は闇の中!
0011 誰にも話したことのない埋められた宝が
0012 朝は以前より穏やかになり――
0013 眠りとは何かと
0014 わたしには姉妹が一人、家の中にいて、
0015 その訪問者は金と緋をしている――
0016 一杯のお酒を蒸留して、
0017 ほんの一日二日の間まごついていた――
0018 りんどうが花房を編み――
0019 萼《がく》、花弁、棘
0020 りんどうに信頼が置けずに――
0021 わたしたちは負ける――勝つから負けるのだ――
0022 これはみんなわたしの旗印。
0023 わたしは持っていた一ギニー金貨を――
0024 人が見ていない朝には――
0025 彼女は木の下で眠っています――
0027 こうした朝に――わたしたちは別れた――
0028 そして今日、野原から
0029 もしわたしの愛しているものたちがなくなってしまったら
0030 ふらり! ふらり小舟が漂う!
0033 思い出すことを忘れていたならば
0034 女王たちに捧げる栄冠は、きっと――
0036 雪のかけらたち。
0037 氷が池に張る前に――
0039 驚くようなことではなかったので――
0040 来年もたくさんの花を咲かせようと
0042 一日! 救い、救いを! また一日と!
0043 生きられただろう――生きていたなら――
0044 もし彼女が宿り木だったなら
0045 眠りよりも穏やかなものが
0046 わたしは誓いを立てる。
0047 心よ! あの人のことは忘れましょう!
0048 ふたたび、途方に暮れた鳩が
0051 わたしはよくその村を通り過ぎた
0067 成功を何よりも甘美だと考えるのは

0182 駒鳥たちが来るころに

0441 これは便りをくれたことのない
1095 朝を夜に代える者にとりては、

1500 彼の請い求める番だ

1774 あまりに幸せなときは溶けゆく
1775 地球には音があふれている

どんなときでもうららかな(0002)

どんなときでもうららかな
空もどこかにあるし、
たとえそこが暗闇でも、
光はどこかにある。
枯れた森など忘れて、オースティン、
寂しい野原など忘れて――
ここは、いつまでも緑のままの
小さな森。
ここは、霜の降りたことのない
明るい庭。
色褪せぬ花に囲まれて
蜜蜂の羽音が聞こえます。
どうか、お兄さん、
わたしの庭にいらしてください!

There is another sky(0002)

There is another sky,
Ever serene and fair,
And there is another sunshine,
Though it be darkness there;
Never mind faded forests, Austin,
Never mind silent fields --
Here is a little forest,
Whose leaf is ever green;
Here is a brighter garden,
Where not a frost has been;
In its unfading flowers
I hear the bright bee hum:
Prithee, my brother,
Into my garden come!

[註釈]
 ※1.オースティン……エミリーの兄の名。

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0004)

この大いなる海を
声も立てず渡るからには、
ほら、舵取りよ!
おまえは知っているのか
波も吠えず――
嵐も去った陸地を?

穏やかな西の海には
多くの船が足を休め――
碇を降ろしている――
あちらを目指せ、舵取りよ――
ほら陸が! 永遠が!
ようやくたどり着くのだ!

On this wondrous sea(0004)

On this wondrous sea
Sailing silently,
Ho! Pilot, ho!
Knowest thou the shore
Where no breakers roar --
Where the storm is o'er?

In the peaceful west
Many the sails at rest --
The anchors fast --
Thither I pilot thee --
Land Ho! Eternity!
Ashore at last!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0005)

春のあいだは鳥が
春に惹かれて訪れ――
わたしのために歌う。
やがて夏が近づき――
やがて薔薇が顔を見せると、
駒鳥は行ってしまった。

でも泣き言は言わない
なぜなら知っているから
飛んで行ってしまっても――
海の向こうで
新しいメロディを覚えて
戻って来てくれることを。

確かなのはよりしっかりした手
より正しい地をつかんでいるのは
わたしの両手――
そして今は離れているけれど、
わたしは疑う心に言い聞かせる
それはあなたの両手。

穏やかさの増す輝きのなかで、
黄金色の増す光のなかで
わたしは理解した
かすかな疑いと恐れと、
かすかな違和感が
ここからなくなったのを。

それからは泣き言は言わない、
なぜなら知っているから
わたしの鳥は飛び去っても
遠くの木の上で
輝くメロディを覚えて
戻って来ることを。

I have a Bird in spring(0005)

I have a Bird in spring
Which for myself doth sing --
The spring decoys.
And as the summer nears --
And as the Rose appears,
Robin is gone.

Yet do I not repine
Knowing that Bird of mine
Though flown --
Learneth beyond the sea
Melody new for me
And will return.

Fast is a safer hand
Held in a truer Land
Are mine --
And though they now depart,
Tell I my doubting heart
They're thine.

In a serener Bright,
In a more golden light
I see
Each little doubt and fear,
Each little discord here
Removed.

Then will I not repine,
Knowing that Bird of mine
Though flown
Shall in a distant tree
Bright melody for me
Return.

[註釈]
 ※1.友人だったスーと不仲になった際に、送った手紙の末尾に書かれた詩。手紙番号173。

 スー、――進むか留まるか――選択肢は一つしかないの――このごろ意見が食い違ってばかり、これがきっと最後になります。

 わたしがひとりぼっちになるから置いておけないなんて心配はしなくていいから。心に描いて愛していたものを捨て去ることなんかよくあるし――ときにはお墓に、ときには死よりもずっと悲惨な忘却に――そんなふうに心から血を流してばかりいるから、血が出ても気にならないし、それ以前の痛みにまた一つ痛みをつけ加えて、一日の終わりに口にするだけ――泡がはじけた!って。

 子どもでしかなかったころにこんな事態が起こったとしたらひどく悲しいだろうし、家族のそばでよちよち歩きしていたころならきっと泣いていたに違いないし、棺桶に収まったとしても、目は乾き、心は干涸らびた燃えかすになり、燃え尽きた方がましなくらいだと思う。

 スー、――わたしはこれまで生きてきました。

 永遠に変わらない天国の象徴をかつて夢見たことがあります。たとえそれを奪われても、わたしは一人で留まるつもりだし、あの最期の日が訪れても、あなたを愛するイエス・キリストも、わたしのことは知らないと言うでしょう――我が子を見捨てたりしないような、もっと暗い精霊がいるんです。

 わたしに分け与えてくれた人などほとんどいません。わたしの方から愛しても、その心酔のあまりに、みんなわたしからは距離を置くから――わたしは終わったことをつぶやくだけ。波は広大な青のなかに溶け、今日、人が沈んだことを、わたし以外は誰も知らない。二人でこれまで楽しく歩いて来たけれど――多分これがわたしたちの分岐点――歌いながら通り過ぎなさいスー、遠くの丘までわたしは歩き続けるから。

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0007)

家路につく人々の足取りが――
にぎやかな沓音を立てるころ――
雪の御使いである
クロッカスが咲き始めて――

ハレルヤの詠誦を
飽きるまでさらうころ――
舟人たちはさよならを告げ、
歌いながら岸に上がった。

真珠は潜水夫が落とした銅貨――
海がくすねてまるく磨いた――
翼は――地を這うかつての――
わたしたちが失くした――熾天使の引く車――

夜は朝に塗り重ねられ
盗まれたものも――あとに遺された。
死を前にしても、わたしたちは
不死に心を奪われていた。

わたしには計ることができない
その村がどれほど遠くにあるのかを
農夫の役を天使たちが務め――
空に散らばるその村が、どこにあるのかを――

わたしの本は顔をヴェールで覆い――
わたしは信仰の心で闇を崇めるが――
そこは厳かな僧院であり、
そこから斯くまでに復活があふれていた――

The feet of people walking home(0007)

The feet of people walking home
With gayer sandals go --
The Crocus, till she rises
The Vassal of the snow --

The lips at Hallelujah
Long years of practise bore --
Till bye and bye these Bargemen
Walked singing, on the shore.

Pearls are the Diver's farthings --
Extorted form the sea --
Pinions --the Seraph's wagon --
Pedestrian once --as we --

Night is the morning's Canvas
Larceny --Legacy.
Death, but our rapt attention
To immortality.

My figures fail to tell me
How far the village lies
Whose peasants are the angels --
Whose Cantons dot the skies --

My Classics vail their faces --
My faith that dark adores --
Which from it's solemn abbeys
Such resurrection pours --

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0008)

ある言葉は
佩いている剣で
兵士を突き刺すことができます――
刺々しい音節を浴びせて
ふたたび口をつぐみます――
けれど倒れた場所を
助かった者は語るでしょう
愛国の日に、
肩章をつけた仲間の一人が
息を引き取った場所を。

息を切らした太陽がどこを走ろうとも――
その日がどこをうろつき回ろうとも――
音も立てぬ襲撃があり
勝利があります!
切れ味鋭い撃ち手を見よ!
非の打ち所なき射撃を!
時の最大の標的は
「忘れられた」魂です!

There is a word(0008)

There is a word
Which bears a sword
Can pierce an armed man --
It hurls its barbed syllables
And is mute again --
But where it fell
The saved will tell
On patriotic day,
Some epauletted Brother
Gave his breath away.

Wherever runs the breathless sun --
Wherever roams the day --
There is its noiseless onset --
There is its victory!
Behold the keenest marksman!
The most accomplished shot!
Time's sublimest target
Is a soul "forgot!"

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0009)

小径を通って――茨を通って――
空き地を通って森を通って――
目の前をよく山賊が通り過ぎた
人気のない道の上を。

狼が物珍しげに覗きに来て――
梟が戸惑うように見下ろし――
蛇のぬめらかな姿が
密やかに這い進んだ――

嵐がわたしたちの服に手を触れ――
稲光の剣がきらめき――
頭上の岩山から荒々しく
飢えた禿鷹が叫びをあげた――

サテュロスが手招きし――
谷が「おいで」とつぶやいた――
そうしたものが友だちだった――
これが、あのころの子どもたちが
家までぶらつく道のりだった。

Through lane it lay --through bramble --(0009)

Through lane it lay --through bramble --
Through clearing and through wood --
Banditti often passed us
Upon the lonely road.

The wolf came peering curious --
The owl looked puzzled down --
The serpent's satin figure
Glid stealthily along --

The tempests touched our garments --
The lightning's poinards gleamed --
Fierce from the Crag above us
The hungry Vulture screamed --

The satyr's fingers beckoned --
The valley murmured "Come" --
These were the mates --
This was the road
Those children fluttered home.

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0010)

わたしの舵輪は闇の中!
桿は見えないけれど
濡れた足許はわかる
まわれまわれ。

わたしの足は潮の上!
足跡もない道だけれど――
どんな道にも
終わりには空き地がある――

櫨を漕ぐのをやめてしまった人たちがいる――
おかしな仕事を見つけ出して
墓の中でも忙しくしている人たちもいる――

若々しく――堂々とした足どりで――
門を通り抜ける人たちもいて――
通りがけに問題を放り投げるのだ
あなたとわたしに向かって!

My wheel is in the dark!(0010)

My wheel is in the dark!
I cannot see a spoke
Yet know its dripping feet
Go round and round.

My foot is on the Tide!
An unfrequented road --
Yet have all roads
A clearing at the end --

Some have resigned the Loom --
Some in the busy tomb
Find quaint employ --

Some with new -- stately feet --
Pass royal through the gate --
Flinging the problem back
At you and I!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0011)

誰にも話したことのない埋められた宝が
丘の上に――眠っています――
わたしは太陽を見た――かれは掠奪を終え
戦利品を守ろうと屈み込んでいるところだった。

かれが立っているのは
あなたの立っているすぐそば――
二人のあいだには一跨ぎの距離しかなかった――
蛇が藪を掻き分けなければ
わたしの命は失われていたことでしょう。

あれは見事な掠奪品だった――
あれが正直に手に入れたものだったなら。
どれもこれも美しい金属塊
それが鋤に口づけをしていたのだ!

秘密を守ろうが――
打ち明けようが――
わたしがじっくり考えているときだろうが
キッドは突然の航海に出ることだろう――

賢者に助言してもらえたなら
あれを分けることもできただろうに――
賢者が裏切ることになるかどうかは――
運命の女神アトロポス次第!

I never told the buried gold(0011)

I never told the buried gold
Upon the hill --that lies --
I saw the sun --his plunder done
Crouch low to guard his prize.

He stood as near
As stood you here --
A pace had been between --
Did but a snake bisect the brake
My life had forfeit been.

That was a wondrous booty --
I hope 'twas honest gained.
Those were the fairest ingots
That ever kissed the spade!

Whether to keep the secret --
Whether to reveal --
Whether as I ponder
Kidd will sudden sail --

Could a shrewd advise me
We might e'en divide --
Should a shrewd betray me --
Atropos decide!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0012)

朝は以前より穏やかになり――
木の実は茶色く色づいて――
果実ベリーの頬はふくらみ――
薔薇は町を去った。

楓は派手なスカーフを掛け――
野原は真紅のガウンをまとう――
流行に乗り遅れないように
わたしも小さな宝石を身につけよう。

The morns are meeker than they were --(0012)

The morns are meeker than they were --
The nuts are getting brown --
The berry's cheek is plumper --
The Rose is out of town.

The Maple wears a gayer scarf --
The field a scarlet gown --
Lest I should be old fashioned
I'll put a trinket on.

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0013)

眠りとは何かと
健全な魂が考えるには、
目を閉じること。

眠りとは巨大な駅
降ればその両側に
大勢の目撃者が居並んでいる!

朝とは何かと
偉い人が考えるには、
一日の始まり。

朝など来たことはない!
曙の光は
あの世の東にあるのだろう。

鮮やかな旗を掲げるもの、
赤い隊列を組んでいるもの、――
それが一日の始まり。

Sleep is supposed to be,(0013)

Sleep is supposed to be,
By souls of sanity,
The shutting of the eye.

Sleep is the station grand
Down which on either hand
The hosts of witness stand !

Morn is supposed to be,
By people of degree,
The breaking of the day.

Morning has not occurred !
That shall aurora be
East of eternity ;

One with the banner gay,
One in the red array, --
That is the break of day.

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0014)

わたしには姉妹が一人、家の中にいて、
もう一人は、垣根の外に。
記録されているのは一人だけだけれど、
二人ともわたしのものだ。

一人はわたしと同じ道をたどり――
去年のわたしのガウンをまとった――
もう一人は、鳥のように、
わたしたちの心に巣を作った。

彼女はわたしたちの歌う歌とは――
違う調べを歌った――
六月の蜂のつぶやきのような
音楽を自分のために。

今は子どものころから隔たっているけれど――
丘をいくつも上り下りして
わたしは彼女の手をもっと強く握った――
そうすればどんな距離も遠くはなかった――

そしてなお彼女の鼻歌は
何年ものあいだ、
蝶を欺いている。
今もなお彼女の目の中には
菫の花々が眠っている
このいっぱいの五月を無駄にして。

わたしは露をこぼしたけれど――
朝日を手に入れた――
わたしはこのたった一つの星を選んだ
広い夜空のたくさんの星の中から――
願わくば――未来永劫に!

One Sister have I in our house,(0014)

One Sister have I in our house,
And one, a hedge away.
There's only one recorded,
But both belong to me.

One came the road that I came --
And wore my last year's gown --
The other, as a bird her nest,
Builded our hearts among.

She did not sing as we did --
It was a different tune --
Herself to her a music
As Bumble bee of June.

Today is far from Childhood --
But up and down the hills
I held her hand the tighter --
Which shortened all the miles --

And still her hum
The years among,
Deceives the Butterfly;
Still in her Eye
The Violets lie
Mouldered this many May.

I spilt the dew --
But took the morn --
I chose this single star
From out the wide night's numbers --
Sue --forevermore!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0015)

その訪問者は金と緋をしている――
白く灰色の訪問者――
オコジョの上着と――
鮮やかなマント――

その男は夕暮れに町に着き――
どの戸口でも足を止める――
朝、彼を探す者よ
どうかわたしにも――探させてほしい
雲雀の澄んだ縄張りや――
千鳥の浜辺を!

The Guest is gold and crimson --(0015)

The Guest is gold and crimson --
An Opal guest and gray --
Of Ermine is his doublet --
His Capuchin gay --

He reaches town at nightfall --
He stops at every door --
Who looks for him at morning
I pray him too -- explore
The Lark's pure territory --
Or the Lapwing's shore!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0016)

一杯のお酒を蒸留して、
友人たちみんなに運ぶつもりだった、
手招きしても、もはや動かない彼女に乾杯するために、
さもなければ火をつけるつもりだった、碇を降ろすつもりだった!

I would distil a cup,(0016)

I would distil a cup,
And bear to all my friends,
Drinking to her no more astir,
By beck, or burn, or moor!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0017)

ほんの一日二日の間まごついていた――
戸惑っていた――恐れていたのではない――
思いがけない少女に
庭で出会うことに。
少女が手招きすると、木々が芽吹き――
少女がうなずくと、すべてが始まる――
確かにこんな国を
わたしは訪れたことがない!

Baffled for just a day or two --(0017)

Baffled for just a day or two --
Embarrassed --not afraid --
Encounter in my garden
An unexpected Maid.
She beckons, and the woods start --
She nods, and all begin --
Surely, such a country
I was never in!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0018)

りんどうが花房を編み――
かえでの機織が赤く色づき――
わたしの花々は立ち去り
パレードを避けてゆく。

短いけれど、耐え難い苦痛――
準備の一時間が過ぎれば、
今朝の地上は
天使たちのいる場所――
それは短い行列だった、
米食鳥ボボリンクがそこにいた――
老いた蜜蜂がわたしたちに話しかけた――
そしてわたしたちはひざまずいて祈った――
彼女が喜んでいたのだと信じます――
わたしたちがどうなるのかとたずねます――
暑夏よ――修道女よ――熾天使よ!
わたしたちをあなたとともに!

蜜蜂の名において――
蝶々の名において――
そよ風の名において――アーメン!

The Gentian weaves her fringes --(0018)

The Gentian weaves her fringes --
The Maple's loom is red --
My departing blossoms
Obviate parade.

A brief, but patient illness --
An hour to prepare,
And one below this morning
Is where the angels are --
It was a short procession,
The Bobolink was there --
An aged Bee addressed us --
And then we knelt in prayer --
We trust that she was willing --
We ask that we may be.
Summer --Sister --Seraph!
Let us go with thee!

In the name of the Bee --
And of the Butterfly --
And of the Breeze --Amen!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0019)

がく、花弁、棘
いつもどおりの夏の朝に――
壜一杯の朝露――蜜蜂一、二匹――
そよ風が――木々のまにまに戯れ――
そしてわたしは一輪の薔薇!

A sepal, petal, and a thorn(0019)

A sepal, petal, and a thorn
Upon a common summer's morn --
A flask of Dew --A Bee or two --
A Breeze --a caper in the trees --
And I'm a Rose!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0020)

りんどうに信頼が置けずに――
わたしが立ち去ると、
その花弁を震わせ
わたしの不実を子ども扱いし――
わたしの――に愛想を尽かす――
わたしはこれから歌いに行くのだ――
わたしはみぞれを感じない――それに――
わたしは雪を恐れはしない。

こうして幻の草原が姿を消す
息を切らした蜜蜂の前で――
こうして砂漠のなかで小川が泡立つ
死にゆく耳のなかで――
こうして夜の尖塔が燃える
閉じゆく目のなかで――
こうして遙か彼方の天国がぶら下がる――
だらりと落ちた手から。

Distrustful of the Gentian --(0020)

Distrustful of the Gentian --
And just to turn away,
The fluttering of her fringes
Child my perfidy --
Weary for my ----------
I will singing go --
I shall not feel the sleet --then --
I shall not fear the snow.

Flees so the phantom meadow
Before the breathless Bee --
So bubble brooks in deserts
On Ears that dying lie --
Burn so the Evening Spires
To Eyes that Closing go --
Hangs so distant Heaven --
To a hand below.

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0021)

わたしたちは負ける――勝つから負けるのだ――
賭博者たちよ――これを忘れずに
もう一度さいころを振るがいい!

We lose --because we win --(0021)

We lose --because we win --
Gamblers --recollecting which
Toss their dice again!

[註釈]
 ※1.21番の詩は、『続自然と愛と孤独と』に中島完訳があります。

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0022)

これはみんなわたしの旗印。
わたしは祭典の種を撒く
これが五月のこと――
それは一列また一列と起きあがり――
やがてもとの通り眠りに就く――
わたしの教会は――見渡すかぎりの野原
今日の日は。

失くしても――ふたたび見つけることができるなら――
会い損ねても――またいつか会えるのなら――
泥棒も盗むことはできないし――
仲買人もごまかすわけにはいかない。
だから元気よく山を積み上げなさい
わたしの鋤っ子ちゃん
ただしひな菊のねぐらを忘れずに
それにおだまきの居場所も――
あなたとわたしが
知っているクロッカスの秘術を――
そっと唱えさせてください――
「モハヤ雪ハ解ケタ!」

蘭の心を持ち続ける人のために――
沼地は六月とともに桃色に。

All these my banners be.(0022)

All these my banners be.
I sow my pageantry
In May --
It rises train by train --
Then sleeps in state again --
My chancel --all the plain
Today.

To lose --if one can find again --
To miss --if one shall meet --
The Burglar cannot rob --then --
The Broker cannot cheat.
So build the hillocks gaily
Thou little spade of mine
Leaving nooks for Daisy
And for Columbine --
You and I the secret
Of the Crocus know --
Let us chant it softly --
"There is no more snow!"

To him who keeps an Orchis' heart --
The swamps are pink with June.

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

わたしは持っていた一ギニー金貨を――(0023)

わたしは持っていた一ギニー金貨を――
砂のなかに落としてしまった――
額面はささやかなものだったし
何ポンドも土のなかにあったけれど――
それでもやはり大事だった
倹約家のわたしの目には――
見つけられなかったときには――
しゃがみ込んでため息をついてしまうほどに。

わたしが飼っていた真紅の駒鳥は――
来る日も来る日も歌っていた
なのに森が模様替えされてしまうころには、
かれ、飛んでいってしまった――

時が経てば別の駒鳥たちがやって来て――
同じようにバラッドを歌った――
それでもやはりあの吟遊詩人が恋しくて
わたしは「我が家」を守っていた。

わたしは天に星を持っていた――
「プレアデス」というのがその名前だった――
わたしが目をそらしている間に、
同じようにどこかに行ってしまった。
空には星々があふれていて――
一晩中輝いているけれど――
それにはわたしは興味がない――
どれもわたしの星ではないのだから。

わたしの物語には教訓がある――
わたしは友だちを失くしてしまった――
その名も「プレアデス」に、駒鳥、
それに砂のなかのギニー金貨。
だからこの涙で彩られた
別れの曲が――
ここから遠く離れた国で
裏切り者を見つけるころには――
どうか深い後悔が
裏切り者の心を捕らえ――
太陽の下で裏切り者が
何の慰めも見い出せないようにして下さい。

I had a guinea golden --(0023)

I had a guinea golden --
I lost it in the sand --
And tho' the sum was simple
And pounds were in the land --
Still, had it such a value
Unto my frugal eye --
That when I could not find it --
I sat me down to sigh.

I had a crimson Robin --
Who sang full many a day
But when the woods were painted,
He, too, did fly away --

Time brought me other Robins --
Their ballads were the same --
Still, for my missing Troubador
I kept the "house at hame."

I had a star in heaven --
One "Pleiad" was its name --
And when I was not heeding,
It wandered from the same.
And tho' the skies are crowded --
And all the night ashine --
I do not care about it --
Since none of them are mine.

My story has a moral --
I have a missing friend --
"Pleiad" its name, and Robin,
And guinea in the sand.
And when this mournful ditty
Accompanied with tear --
Shall meet the eye of traitor
In country far from here --
Grant that repentance solemn
May seize upon his mind --
And he no consolation
Beneath the sun may find.

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

人が見ていない朝には――(0024)

人が見ていない朝には――
朝の少女たちが遠い緑の上で
天使のように素晴らしい五月を祝います――
そして一日中長々と、ダンスとゲームと、
名づけようのない遊びに興じて――
休日を過ごします。

ほらそこ、軽快なリズムに、足を動かして
もう歩いている足は村の通りにも――
森のほとりにも見あたりません――
ほらそこ、鳥たちが太陽を目指しています
去年の糸巻車がほったらかしでぶら下がっているのを見て
夏が眉を持ち上げました。

こんな素晴らしい景色は見たことがなかった――
こんな響きもこんな緑も見たことがなかった――
それにこれほど穏やかな装いも――
まるで夏の夜の星たちが
貴橄欖石のカップを揺らし――
一日の終わりまで酒を飲もうとしているようです――

あなたのようにダンスをし――あなたのように歌を歌う――
神のみぞ知る緑の上の人々よ――
それをわたしは願う、新しく五月の朝が来るたびに。
わたしが待っているのは、遠く想像もつかないあなたの鐘の音――
いつもとは違う夜明けに鳴ることを!

There is a morn by men unseen --(0024)

There is a morn by men unseen --
Whose maids upon remoter green
Keep their Seraphic May --
And all day long, with dance and game,
And gambol I may never name --
Employ their holiday.

Here to light measure, move the feet
Which walk no more the village street --
Nor by the wood are found --
Here are the birds that sought the sun
When last year's distaff idle hung
And summer's brows were bound.

Ne'er saw I such a wondrous scene --
Ne'er such a ring on such a green --
Nor so serene array --
As if the stars some summer night
Should swing their cups of Chrysolite --
And revel till the day --

Like thee to dance -- like thee to sing --
People upon the mystic green --
I ask, each new May Morn.
I wait thy far, fantastic bells --
Unto the different dawn!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0025)

彼女は木の下で眠っています――
覚えているのはわたしだけ。
わたしが音を立てずゆりかごに触れると――
彼女は足取りに気づいて――
深紅の衣服を身につけて
目を開きます!

She slept beneath a tree --(0025)

She slept beneath a tree --
Remembered but by me.
I touched her Cradle mute --
She recognized the foot --
Put on her carmine suit
And see!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0027)

こうした朝に――わたしたちは別れた――
こうした昼に――彼女は飛び立った――
初めは羽ばたき――やがて羽を休めて
晴れやかに休息を得るため。
彼女はそれを口にしたことはない――
それはわたしのためにあるのではない――
彼女が――無言なのは忘我のため
わたしは――苦悶のため
誰かがカーテンを引いた――
急いで! 衣擦れの音が聞こえる!
そしてこのヒワは飛び立った!

Morns like these --we parted --(0027)

Morns like these --we parted --
Noons like these --she rose --
Fluttering first --then firmer
To her fair repose.
Never did she lisp it --
It was not for me --
She --was mute from transport --
I --from agony --
Till --the evening nearing
One the curtains drew --
Quick! A Sharper rustling!
And this linnet flew!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0028)

そして今日、野原から
ひな菊は消えてしまいました――
そして忍び足の履物が
いくつも天国に去って行きました――

そして真紅の泡のなかから滲み出た
一日の始まりの潮が――
花咲き――変転し――流れて
そのとき汝ら神とともにありや?

So has a Daisy vanished(0028)

So has a Daisy vanished
From the fields today --
So tiptoed many a slipper
To Paradise away --

Oozed so in crimson bubbles
Day's departing tide --
Blooming --tripping --flowing
Are ye then with God?

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0029)

もしわたしの愛しているものたちがなくなってしまったら
泣き叫ぶ声が教えてくれるでしょう――
もしわたしの愛しているものたちが見つかったなら
ヘントの鐘が鳴り響くことでしょう――

わたしの愛しているものたちが眠っていたなら
ひな菊がわたしを駆り立てるでしょう。
フィリップ――困ったときには
その謎を掘り下げなさい!

If those I loved were lost(0029)

If those I loved were lost
The Crier's voice would tell me --
If those I loved were found
The bells of Ghent would ring --

Did those I loved repose
The Daisy would impel me.
Philip --when bewildered
Bore his riddle in!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0030)

ふらり! ふらり小舟が漂う!
夜のとばりが降りなんとするのに!
誰も小舟を導こうとはしないのか?
最寄りの町まで。

すると水夫たちが言う――昨日――
黄昏が褐色に染まるころ
一艘の小舟が争いをやめ
音を立てて沈み沈んだと。

すると天使たちが言う――昨日――
東雲が赤く染まるころ
一艘の小舟が――風にねぶり尽くされたあと――
マストを立て直し――帆を張り直して――
喜び勇んで――突き進んだと!

Adrift! A little boat adrift!(0030)

Adrift! A little boat adrift!
And night is coming down!
Will no one guide a little boat
Unto the nearest town?

So Sailors say --on yesterday --
Just as the dusk was brown
One little boat gave up its strife
And gurgled down and down.

So angels say --on yesterday --
Just as the dawn was red
One little boat --o'erspent with gales --
Retrimmed its masts --redecked its sails --
And shot --exultant on!

[註釈]
 ※1.30番の詩は、『続々自然と愛と孤独と』に中島完訳があります。

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0033)

思い出すことを忘れていたならば
まもなくわたしは忘れてしまうでしょう。
忘れることを覚えていたならば、
ついさっき忘れてしまったことでしょう。
失うことが喜ばしくて、
悼むことが嬉しいなら、
今日これを集めた指の一つ一つは
どれだけ心浮き立っていることでしょう!

If recollecting were forgetting,(0033)

If recollecting were forgetting,
Then I remember not.
And if forgetting, recollecting,
How near I had forgot.
And if to miss, were merry,
And to mourn, were gay,
How very blithe the fingers
That gathered this, Today!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0034)

女王たちに捧げる栄冠は、きっと――
月桂樹の冠――優れた地位に捧げる栄冠は
魂か剣でできている。
ああ――わたしを覚えていないのであれば――
ああ――あなたを覚えていないのであれば――
義に篤い自然が――
慈悲深い自然が――
公正なる自然が――
この薔薇を冠として捧げたのです!

Garland for Queens, may be --(0034)

Garland for Queens, may be --
Laurels --for rare degree
Of soul or sword.
Ah --but remembering me --
Ah --but remembering thee --
Nature in chivalry --
Nature in charity --
Nature in equity --
This Rose ordained!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0036)

雪のかけらたち。

わたしが数えていると舞い始め
靴を蹴って町を飛び越えたので、
やがてわたしは鉛筆を手にして
その反逆者たちを書き留めた。
やがてとても楽しそうにし始めたので
わたしは生真面目さを脱ぎ捨て、
しゃちほこばらせていた十本の爪先を
きれいにそろえてジグを踊った!

Snow flakes.(0036)

Snow flakes.

I counted till they danced so
Their slippers leaped the town,
And then I took a pencil
To note the rebels down.
And then they grew so jolly
I did resign the prig,
And ten of my once stately toes
Are marshalled for a jig!!

[註釈]
 ※1.36番の詩は、『自然と愛と孤独と 第4集』[bk1amazon]に中島完訳があります。

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0037)

氷が池に張る前に――
滑り屋たちが来る前に、
あるいは夕暮れに割れ目が
雪で曇ってしまう前に――

野原が総仕舞する前に、
クリスマス・ツリーが、
不思議に不思議を重ねて
わたしのところに届く前に!

夏の日にわたしたちが
「それ」の周縁に手を触れ――
ちょうど橋の上を
歩み去っている「それ」は――

こうして話す「それ」は――
誰もここにいないときに――
涙で濡らしたドレスを
身につけなさいと答えるでしょうか?

Before the ice is in the pools --(0037)

Before the ice is in the pools --
Before the skaters go,
Or any check at nightfall
Is tarnished by the snow --


Before the fields have finished,
Before the Christmas tree,
Wonder upon wonder
Will arrive to me!

What we touch the hems of
On a summer's day --
What is only walking
Just a bridge away --

That which sings so --speaks so --
When there's no one here --
Will the frock I wept in
Answer me to wear?

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0039)

驚くようなことではなかったので――
わたしは言った――それとも考えたのかもしれない――
彼女は羽根を震わせ
巣のことなど忘れてしまった、

広い森を飛び回り――
派手な枝を用いて作り、
当世風の神の
大昔の誓いに耳を傾けるはずだった巣のことを

ただの小鳥に過ぎなかったのだから――
わたしの胸のなかから
去ってしまったとしても
どうなるというのだろう?

ただの物語に過ぎなかったのだから――
心のなかに、代わりに
そんな棺があったとしても
果たしてどうなるというのだろう?

It did not surprise me --(0039)

It did not surprise me --
So I said -- or thought --
She will stir her pinions
And the nest forgot,

Traverse broader forests --
Build in gayer boughs,
Breathe in Ear more modern
God's old fashioned vows --

This was but a Birdling --
What and if it be
One within my bosom
Had departed me?

This was but a story --
What and if indeed
There were just such coffin
In the heart instead?

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0040)

来年もたくさんの花を咲かせようと
下に蒔かれた種を、
わたしが数えるなら――
気高く思われようとして
あんなに低く身を潜めている人たちを、
わたしがごまかすなら――
死と出会わない庭を
わたしが信じて――
その花を信じて摘み
その蜂を避けるなら、
ためらうことなく、この夏を取っておくことができる。

When I count the seeds(0040)

When I count the seeds
That are sown beneath,
To bloom so, bye and bye --
When I con the people
Lain so low,
To be received as high --
When I believe the garden
Mortal shall not see --
Pick by faith its blossom
And avoid its Bee,
I can spare this summer, unreluctantly.

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0042)

一日! 救い、救いを! また一日と!
祈るあなたの祈りが、ああ通りゆく人よ!
こんなありふれた弾丸から
勝利を数えることもできた!
こんな素っ気ない長い隊列から
国々の旗をいくつも揺らした。
落ち着け――我が魂。どんな問題が
汝の矢の上に掛かっていようとも!

A Day! Help! Help! Another Day!(0042)

A Day! Help! Help! Another Day!
Your prayers, oh Passer by!
From such a common ball as this
Might date a Victory!
From marshallings as simple
The flags of nations swang.
Steady -- my soul: What issues
Upon thine arrow hang!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0043)

生きられただろう――生きていたなら――
死ねただろう――死んでいたなら――
どんなことでもも笑えただろう
魂を導いてくれると、
会わなかった人を信じることで。

よく知られた場所から
交わることのない点まで行けただろう――
先行きを考えることができただろう
心を惑わせることもなく――

そう信じている人がわたしたちのなかにはいた、
今とは違うわたしたちのなかには――
わたしたちは進水式を見たのに
船が港を出ることはなかった!

Could live --did live --(0043)

Could live --did live --
Could die --did die --
Could smile upon the whole
Through faith in one he met not,
To introduce his soul.

Could go from scene familiar
To an untraversed spot --
Could contemplate the journey
With unpuzzled heart --

Such trust had one among us,
Among us not today --
We who saw the launching
Never sailed the Bay!

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0044)

もし彼女が宿り木だったなら
そしてわたしが薔薇だったなら――
わたしの天鵞絨の人生を閉じるための
あなたのテーブルはどんなにかにぎやかだろう――
わたしはドルイド僧で、
あなたは雫なのだから――
わたしは伝承されたボタン穴を飾り――
あなたに薔薇を送りましょう。

If she had been the Mistletoe(0044)

If she had been the Mistletoe
And I had been the Rose --
How gay upon your table
My velvet life to close --
Since I am of the Druid,
And she is of the dew --
I'll deck Tradition's buttonhole --
And send the Rose to you.

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0045)

眠りよりも穏やかなものが
この奥深い部屋にはあります!
それは胸の上に小枝をまとい――
名前を告げることもないでしょう。

それに触れ、それに口づけし――
その動かぬ手を暖める人たちがいます――
それには単純な重みがあるのです
わたしにはわからない重みが!

わたしなら泣きじゃくったりはしない――
一斉にすすり泣くなんて不作法なことは!
おとなしい妖精をおびえさせ
ふるさとの森に逃がしてしまうかもしれないのに!

他意のない隣人たちが
「早すぎた死」を話題にする間――
わたしたちは――得てして遠回しな口を利く
鳥が飛び去ってしまった!、と。

There's something quieter than sleep(0045)

There's something quieter than sleep
Within this inner room!
It wears a sprig upon its breast --
And will not tell its name.

Some touch it, and some kiss it --
Some chafe its idle hand --
It has a simple gravity
I do not understand!

I would not weep if I were they --
How rude in one to sob!
Might scare the quiet fairy
Back to her native wood!

While simple-hearted neighbors
Chat of the "Early dead" --
We --prone to periphrasis
Remark that Birds have fled!

[註釈]
 ※0045番の詩は『続自然と愛と孤独と』[amazon]に中島完訳があります。

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0046)

わたしは誓いを立てる。
わたしは召されなかった――
死はわたしを素通りしたのだ。
わたしは薔薇を手にする。
わたしはふたたび誓う、
聖別された蜜蜂に賭けて――
丘から召されたひなぎくに賭けて――
小径から去った米食鳥ボボリンクに賭けて。
花とわたしは――
ともに誓う――
絶対にまた戻ってくると。

I keep my pledge.(0046)

I keep my pledge.
I was not called --
Death did not notice me.
I bring my Rose.
I plight again,
By every sainted Bee --
By Daisy called from hillside --
By Bobolink from lane.
Blossom and I --
Her oath, and mine --
Will surely come again.

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0047)

心よ! あの人のことは忘れましょう!
あなたもわたしも――今夜かぎりで!
あなたがあの人のくれた温かさを忘れられたら――
わたしは光を忘れるから!

終わったらわたしに教えてほしい
そうすればわたしもすぐに始められる!
早く! ぐずぐずしていると
あの人のことを思い出してしまうから!

Heart! We will forget him!(0047)

Heart! We will forget him!
You and I --tonight!
You may forget the warmth he gave --
I will forget the light!

When you have done, pray tell me
That I may straight begin!
Haste! lest while you're lagging
I remember him!

[註釈]
 ※0047番の詩は、『自然と愛と孤独と』[amazon]に中島完訳が、『ディキンスン詩集』[amazon]に新倉俊一訳があります。

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典

(0048)

ふたたび、途方に暮れた鳩が
戸惑った翼を動かし
ふたたび飼い主が、海の上で
まごついた問いかけを投げかける――

みたび、海に浮かぶ窓に
家長の鳥が帰ってきた、
心猛き! 勇敢なコロンバよ!
やがて陸地は見つかるだろう。

Once more, my now bewildered Dove(0048)

Once more, my now bewildered Dove
Bestirs her puzzled wings
Once more her mistress, on the deep
Her troubled question flings --

Thrice to the floating casement
The Patriarch's bird returned,
Courage! My brave Columba!
There may yet be land

HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典
[訳者あとがき]
HOME  翻訳作品  戻る 進む  TOP
New  リンク  翻訳連載blog  読書&映画日記  掲示板  仏和辞典