※2010年現在入手しやすいディキンソンの邦訳詩集には、『自然と愛と孤独と』シリーズ(正[bk1・amazon]、続[amazon]、続々[amazon]、第4集[bk1・amazon])、岩波文庫『対訳ディキンソン詩集』[bk1・amazon]、海外詩文庫『ディキンスン詩集』[bk1・amazon]があります。これに未収録のものを中心に訳載してゆく予定です。
※ちなみに邦訳されている詩の番号一覧は→こちら。
詳細目次
0002 どんなときでもうららかな
0004 この大いなる海を
0005 春のあいだは鳥が
0007 家路につく人々の足取りが
0008 ある言葉は/佩いている剣で
0009 小径を通って――茨を通って――
0010 わたしの舵輪は闇の中!
0011 誰にも話したことのない埋められた宝が
0012 朝は以前より穏やかになり――
0013 眠りとは何かと
0014 わたしには姉妹が一人、家の中にいて、
0015 その訪問者は金と緋をしている――
0016 一杯のお酒を蒸留して、
0017 ほんの一日二日の間まごついていた――
0018 りんどうが花房を編み――
0019 萼《がく》、花弁、棘
0020 りんどうに信頼が置けずに――
0021 わたしたちは負ける――勝つから負けるのだ――
0022 これはみんなわたしの旗印。
0023 わたしは持っていた一ギニー金貨を――
0024 人が見ていない朝には――
0025 彼女は木の下で眠っています――
0027 こうした朝に――わたしたちは別れた――
0028 そして今日、野原から
0029 もしわたしの愛しているものたちがなくなってしまったら
0030 ふらり! ふらり小舟が漂う!
0033 思い出すことを忘れていたならば
0034 女王たちに捧げる栄冠は、きっと――
0036 雪のかけらたち。
0037 氷が池に張る前に――
0039 驚くようなことではなかったので――
0040 来年もたくさんの花を咲かせようと
0042 一日! 救い、救いを! また一日と!
0043 生きられただろう――生きていたなら――
0044 もし彼女が宿り木だったなら
0045 眠りよりも穏やかなものが
0046 わたしは誓いを立てる。
0047 心よ! あの人のことは忘れましょう!
0048 ふたたび、途方に暮れた鳩が
0051 わたしはよくその村を通り過ぎた
0067 成功を何よりも甘美だと考えるのは
0182 駒鳥たちが来るころに
0441 これは便りをくれたことのない
1095 朝を夜に代える者にとりては、
1500 彼の請い求める番だ
1774 あまりに幸せなときは溶けゆく
1775 地球には音があふれている
わたしはよくその村を通り過ぎた
学校から帰る途中に――
あの人たちは何者なのだろう――
どうしてあの人だけあんなにじっとしているのだろう――
当時のわたしは知らなかった――
そのときが来れば召喚されることを――
日時計のそばの、ほかのみんなが、
逝ってしまうよりも早く。
あの人は日没よりもひそやかで。
夜明けよりも冷ややかだったけれど――
ひな菊たちはここに根を張り――
鳥たちも羽根を休めてくれる――
だからあなたが疲れたり――
悩んだり――凍えたりしたときには――
心からの約束を信じて
土の下に叫んでほしい、
「わたしはここ、ドリーも連れてって」と、
わたしが抱きしめてあげるから!
I often passed the village
When going home from school --
And wondered what they did there --
And why it was so still --
I did not know the year then --
In which my call would come --
Earlier, by the Dial,
Than the rest have gone.
It's stiller than the sundown.
It's cooler than the dawn --
The Daisies dare to come here --
And birds can flutter down --
So when you are tired --
Or perplexed --or cold --
Trust the loving promise
Underneath the mould,
Cry "it's I," "take Dollie,"
And I will enfold!
[註釈]
※1.「村(the village)」。エミリーが少女時代を過ごした家のそばにあった墓地のこと。
※2.「ドリー(Dollie)」。スーの別称。
駒鳥たちが来るころに
わたしが生きていなかったなら、
赤いネクタイをしたものに、
思い出にパンくずをあげてください。
わたしが深い眠りに就き、
お礼を言えなかったとしても、
御影石のくちびるで
伝えようとしているのを知ってください。
If I shouldn't be alive
When the Robins come,
Give the one in Red Cravat,
A Memorial crumb.
If I couldn't thank you,
Being fast asleep,
You will know I'm trying
Why my Granite lip!
これは便りをくれたことのない
世の人たちへの手紙です――
自然が語ったつまらない報せです――
優しく厳かでした
自然のことづては
見えない手にゆだねます――
自然を愛するのなら――大好きな――同郷のみなさん――
わたしを――優しく裁いてください
This is my letter to the World
That never wrote to Me --
The simple News that Nature told --
With tender Majesty
Her Message is committed
To Hands I cannot see --
For love of Her -- Sweet -- countrymen --
Judge tenderly -- of Me
朝を夜に代える者にとりては、
夜こそ真夜中――なれ!
To Whom the Mornings stand for Nights,
What must the Midnights -- be!
彼の請い求める番だ(1500)
彼の請い求める番だ――
命を請い願うことは
ほかの施しとは違い
主の司る窮状だ――
彼を住まわせようと与えた
ちっぽけな土地を我は調べた
罰の赦しを与えたのに
蛇に感謝を甦らせないように
It came his turn to beg(1500)
It came his turn to beg --
The begging for the life
Is different from another Alms
'Tis Penury in Chief --
I scanned his narrow realm
I gave him leave to live
Lest Gratitude revive the snake
Though smuggled his reprieve
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あまりに幸せなときは溶けゆく(1774)
あまりにも幸せなときは溶けゆく
あとには何も残さずに――
飛べぬ苦悩は軽き羽なきゆえか
あまりに重たきためか――
Too happy Time dissolves itself(1774)
Too happy Time dissolves itself
And leaves no remnant by --
'Tis Anguish not a Feather hath
Or too much weight to fly --
[訳者あとがき]
後ろの二行が自信なし。「羽のない苦しみか/飛ぶには重すぎるのか」
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地球には音があふれている(1775)
地球には音があふれている、
音楽のない場所には
未知の半島がある。
美しいものが自然の真実。
けれど陸を見てください、
そして海を見てください、
コオロギがわたしに
その哀しみを歌っています。
The earth has many keys(1775)
The earth has many keys,
Where melody is not
Is the unknown peninsula.
Beauty is nature's fact.
But witness for her land,
And witness for her sea,
The cricket is her utmost
Of elegy to me.