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土蜘蛛草紙
―つちぐもざうし―
其の二
〔翻刻〕
いとひろき庭の面に〔踏み入れば〕、わけいる袖もしぼるばかりなり。門を見やればむぐらはびこりておのづから絶たり。ふるき上達部のすみかなるべし。西に紅錦きの山あり、南に碧瑠璃の水有、庭には蘭菊の野となり、門は禽獣のすみかとなれり。さて中もんのうちにいたりぬ。つなをばとヾめおきて頼光は左右をかへり見る。
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〔現代語訳〕
広き庭に足を入れると、草を分け入る袖も濡れ、門を見れば蔓草がはびこりとうに朽ちていた。かつて上達部の屋敷だったのだろう、西に紅葉錦の山があり、南に瑠璃青の池がある。今や庭は蘭、菊が咲き乱れ、門は鳥の巣と化してしまった。そうして中門をくぐり、綱に待つよう命じて頼光は辺りを警戒する。
〔解説〕
実はこの場面、本文と絵が微妙に一致していません。「土蜘蛛草紙」には、絵だけが残り本文の欠落した箇所もあり、ここもそうした部分なのかもしれません。
〔画像〕
待っているはずの綱が縁側に腰掛けているし、本文の場面と完全には一致しません。綱は弓を手に持っているものの、刀はかたわらに置いているようだし、リラックスして一休みしているようにも見える。なお、絵巻のため二つの場面が一つの絵の中につながって描かれています。右側に見える門は、「其の一」の左側に見える門と同じものです。
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