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 作品紹介
1844 Les Trois Mousquetaires 『三銃士』
 ・『ダルタニャン物語』第一部
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あらすじ

 銃士になりたくて父のつてを頼ってガスコーニュからパリに出てきたダルタニャンだったが、道行く人々から嘲笑されていると思い込み、一人の貴族と悶着を起こしてしまい、そのうえ銃士隊長トレヴィール宛の紹介状を盗まれてしまった。どうにかトレヴィールとの面会にこぎつけたダルタニャンではあったが、今度はなりゆきで三人の銃士と決闘するはめに陥った。――が、そこにリシュリュー枢機卿の親衛隊が喧嘩をふっかけてきたために、ダルタニャンは三銃士に協力して親衛隊を返り討ちにする。働きが認められて銃士見習に取り立てられたダルタニャン……

 下宿屋のボナシューの妻コンスタンスが王妃アンヌ・ドートリッシュと英国バッキンガム公の密会を手引きしていたことから、政治闘争に巻き込まれ……
 王妃がバッキンガム公に贈った首飾りを舞踏会につけてくるように画策する枢機卿……
 王妃とコンスタンスの頼みでダルタニャンがバッキンガム公から首飾りを取り戻しにイギリスに向かう……
 途中で待ち伏せる枢機卿の手先たち。ポルトス、アラミス、アトスたちは一人また一人と脱落し、残ったのはダルタニャンだけだった……

 コンスタンスと密会の約束をするダルタニャンだったが、約束の家にはあらされた跡が……
 誘拐犯は上京時にダルタニャンと一悶着あった男&ボナシューだった! ダルタニャンはポルトスを探しに、生き別れた宿屋を訪れる。ポルトスと別れ、アラミスを置いた宿屋に向かう。アラミスは司祭に叙任試験の論文の相談をしていた。アトスは酒蔵に籠もって敵を阻むとともに、好きなだけ飲み食いしていた。そしてパリに戻ると、銃士に参加するためにお金が必要になっていた。ダルタニャンはコンスタンスを探すため、ミラディーのところに潜り込むが、ミラディーの女中ケティーに惚れられてしまう。興奮したダルタニャン、服のはだけたミラディーの肩に犯罪者の烙印を目にする。まさかアトスが殺したという元妻なのか!……
 ダルタニャンの属する親衛隊と三銃士はそれぞれ別々にラ・ロシェル攻囲戦に参加する。そんななか、秘密を知られたミラディーによる、ダルタニャンへの復讐が始まった。戦場で再会したダルタニャンたちは、前線で飯を無事に食えるかどうかで賭けをする。ミラディーがバッキンガム公暗殺を目論んでいると知り、王妃に伝えることとミラディーを殺すことを決める。ミラディー捕まる。泣き落としで脱出する。おまけに見張りをそそのかしてバッキンガム公を殺させる。ついでにコンスタンスも毒殺する。怒ったダルタニャンたちは、私設裁判を開いてミラディーを斬首する。リシュリューはダルタニャンを銃士隊副隊長にする。

感想

 誤解を恐れずに言えば、ダルタニャンはおバカちゃんです。友情や愛情やプライドが行動指針となっている人物はデュマ作品には珍しくありませんが、ここまで猪突猛進な人物は思い当たりません。でもそれが欠点ではなくて、王道の少年漫画の主人公のように清々しいから、ここまで読み継がれているのでしょう。

 無口で堅いアトス、お喋りで見栄っ張りなポルトス、聖職者志望で女たらしの優男アラミス……というお約束のキャラクター設定も魅力的です。

 王妃がバッキンガム公に贈った首飾りを返してもらうためにイギリスに向かうシーンも、冒険もののツボを押さえた名場面でした。枢機卿の手先に行く手を阻まれ、仲間を無事にイギリスに行かせるために一人ずつ犠牲になってゆく……これがクライマックスではなくまだ序盤から中盤にかけてなのだからたまりません。

 ダルタニャンは無事にイギリスから戻ってきたあとで、置いてきた銃士を再訪するのですが、ここで改めて各銃士のキャラクターが浮き彫りになるという展開も優れています。まずはワクワクドキドキで引っ張っておいて、一山越えてからじっくり描写されれば、読者は飽きる間もなく物語に引き込まれてしまいますから。

 ただし読み返して意外だったのは、今の目から見るとミラディーが悪役として弱いと感じたことです。肝心なところに来ると泣き落としばかりで。もっと機知や暴虐のかぎりを尽くしてほしかった。

 一応のところ大きな筋として、コンスタンスを取り返すという目的と、侮辱した黒服の男に報いたいという希望があるのですが、ストーリーはあってないようなもので、デュマらしい冒険小説というよりはキャラクター小説に近かったように感じました。贅沢な文句を言えば、キャラが立ちすぎてお約束すぎる、という点でしょうか。そうは言いつつ『ブラジュロンヌ子爵』でポルトスの最期を読むと泣いてしまうんですけどね。。。このキャラならこれしかない、という最期なのですが。

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