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土蜘蛛草紙
―つちぐもざうし―
其の五
〔翻刻〕
また一人の尼きたれり。〔道州の民〕のごとし。そのたけ三〔尺〕ばかりなり。面二尺、たけ一尺なるべし。〔しものみじかさ〕思やられてけしからず。とうだいのもとにゐよりて火をけ〔さん〕とす。〔頼光〕ににらまれて尼公にこ\/と咲へり。眉ふと\/に〔作り〕てべにあかくむかば二にかねつけてたヾしく紫の帽子にて〔紅〕のはかまながやかにきたり。身にはつや\/〔かかる〕物なし。手ほそくしていとすぢのごとし、色しろくして雪のごとし。しずけさにみちみてり。雪かすみのきゆるがごこくして〔うせけり〕。
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〔現代語訳〕
次いで一人の尼が現われた。道州人に似ている。背丈は三尺ほどだが、顔が二尺、胴体が一尺であろう。足の短さを思い想像してみてもかなりのものだ。灯台のそばへにじり寄り火を消そうとする。頼光ににらまれると尼君はにこにこと笑った。眉は太く整え、紅は赤く、前歯二本に鉄漿をつけて、きちんと紫の帽子に紅の袴を長々と履いていた。身体には何もまとっていない。手は糸筋のように細く、色は雪のように白い。静寂が広がった。雪や霞が消えるように消え去った。
〔解説〕
〔画像〕
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