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土蜘蛛草紙
―つちぐもざうし―
其の八
〔翻刻〕
化人移りつれば、綱きたれり。「〔御敵〕はしたヽかにめされ〔候ひぬ〕。たヾし御大刀のさきやお〔ママ〕れぬらん」といふ。いたしきよりぬきい〔で〕見れば、〔げに〕もをれたり。そこを見ると白き血〔お〕びたヾしく〔たまり〕すべてながれず大刀にもしろちつきたり。さて〔つ〕なもろとも〔に〕ゆくゑ〔ママ〕をたづぬるほどに、〔昨日〕の老女のつぼねにいたりぬ。こヽにもしろちばかり〔あ〕りて、ぬしは見えず。「はや一くちにくはれて〔ける〕。」〔などおもひ〕たづね行に、西の山のかたはるかにわけいりたる洞の中にたづ〔ね〕ゆくに、しらちながれいでヽ細谷河のごとし。
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〔現代語訳〕
化物がいなくなると綱が現れた。「見事に行動なされました。しかし御太刀の先端が折れてしまったようです」と云う。板敷から抜き出して確認すると、確かに折れていた。見ると白い血が大量にたまって流れずに、太刀にも白い血が付着している。それから綱とともに化物の行方を探し求めるうちに、昨日の老女の住まいにたどり着いた。ここにも白い血が流れているだけで、住人の姿は見えない。「すでに一口にくわれてしまったのだ」と思いながら探し続けたところ、西山の奥に分け入り、洞の中まで探して行くと、白い血が細い谷川のように流れ出ていた。
〔解説〕
〔画像〕
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