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土蜘蛛草紙
―つちぐもざうし―
其の十
〔翻刻〕
いまは四、五町も来ぬらんおもふに、あな〔の〕はたにいたり〔ぬ〕。むねくらとおぼしきふる屋ひとつ有。瓦に松を〔○〕かきに〔苔〕むしてじむせきたえたり。見るにな〔がさ〕三十丈ばかりなるかし〔ら〕錦をきたるがごとし。かしらの〔かた〕によりて〔足〕いくらともしらず。を〔ママ〕ほしまなこは日月のひかりのごとくかヾやけり。〔お〕ほきに〔ど〕めきていはく、「あなせむなや、こはふ〔○〕に事、身〔に〕いたづきのい〔ママ〕るもくるし」といひはてぬに、あむたがはずしら雲の中にい光をはなちたるものひとつきたりて、人形にたてばにむぎやうたふれぬ。
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〔現代語訳〕
いつやら四、五町も来たであろうと思うころに、洞穴の奥に到着した。棟倉らしき古い建物が一軒ある。瓦に松を葺き、垣は苔むして人跡絶えたところである。見ると三十丈ほどの頭から錦をかぶっているような化物がいる。頭の方ばかりで、足がどのくらいかわからぬ。大きな眼が日光月光のように輝いていた。轟きわたる大きさで、「ああ畜生、どうしたんだ、身体が重くて苦しい」と云い終わった途端に、案に違わず白雲の中に威光を放っている物体が現れて、人形に突き立ち、人形が倒れた。
〔解説〕
〔画像〕
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