この翻訳は翻訳者の許可を取ることなく好きに使ってくれてかまわない。ただし訳者はそれについてにいかなる責任も負わない。
翻訳:東 照
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ジョゼフ・バルサモ

アレクサンドル・デュマ

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第四章 ジルベール

 旅人の注意を引いたのがこの声だったことは述べた通りである。

 旅人は急いで車外に出て慎重に扉を閉め、不安げに辺りを見回した。

 最初に目に留まったのは、驚いて立ち尽くしている若者だった。折よく稲妻が光ったため、全身をくまなく観察することが出来た。どうやらこの男、気になった見知らぬ人や物を観察するのに慣れているようだ。

 立っていたのはせいぜい十六、七の、小柄で贅肉のない逞しい青年だった。気になるものを無遠慮に突き刺す黒い瞳には、誘い込まれるようなところこそないが惹かれるものがあった。細い鷲鼻、薄い口唇、突き出した頬骨からは、抜け目なく用心深いことが窺えるし、滑らかな下顎の突端にあるがっちりした顎先を見れば、強い意思も明らかだ。

「先刻、声をあげたのは君かな?」

「ええ、僕です」若者が答えた。

「なぜあのような声を?」

「それは……」

 若者は躊躇った。

「それは?」旅人は鸚鵡返しにたずねた。

「二輪馬車にご婦人がいらっしゃいましたよね?」

「ああ」

 バルサモの目が馬車に向けられた。壁の厚みも射抜かんほどの眼差しだ。

「馬車のバネに馬が繋がれていましたよね?」

「ああ。何処に行ったんだ?」

「はい、二輪馬車のご婦人が、バネに繋がれたその馬に乗って行ってしまいました」

 旅人は声もあげず、言葉も発せず、二輪馬車に駆け寄りカーテンを開けた。時しも稲妻が天を燃やし、無人の車内を照らした。

「糞ッ!」伴奏のように轟いている雷鳴にも劣らぬほどの咆吼だった。

 慌てて周りに目を走らせ、追いかけるすべを見つけようとしたが、どんな手だても役には立たぬと早々に諦め、首を振って呟いた。

「そこらの馬でジェリドを追ったところで、亀でガゼルを追うようなものだ……だが何処にいようと俺にはわかる、ただ……」

 はっとしたように顔色を変えて上着のポケットに手を伸ばし、取り出した財布を開くと、仕切りから折り畳んだ紙を取り出した。中から現れたのは黒い髪房。

 それを見て旅人の顔に安堵が浮かび、目に映る限りではすっかり落ち着いて見える。

「ふん」額を拭った手が汗でぐっしょりと濡れた。「ふん、まあいい。あいつは何も言わずに立ち去ったのか?」

「いいえ」

「何と言っていた?」

「憎しみではなく恐れゆえに立ち去るのだと。また自分は隠れなきキリスト教徒であるのに、あなたの方は……」

 若者は躊躇った。

「俺の方は……何だ?」

「お伝えしてもいいのかどうか……」

「気にするな、言うがいい!」

「あなたの方は、神を信じぬ異教徒。今夜の出来事は神が最後に与えた警告だと。自分にはその警告が理解できた。あなたにも理解して欲しいと」

 嘲りが旅人の口によぎった。[*1]

「それで全部か?」

「全部です」

「そうか。では話を変えよう」

 旅人の頭からは不安も不満もすっかり消し飛んだようだ。

 若者はこうした心の動きを、旅人の顔に浮かんだ表情からすっかり読み取っていた。元をたどれば好奇心だが、この若者にもそれなりに観察の才はあるのだ。

「お主の名は何という?」

「ジルベールです」

「ただのジルベール? それは洗礼名ではないのか」

「紛れもない僕の苗字です」

「わかったよジルベール、こうして出会ったのも何かの縁だ。一つ頼まれてくれ」

「僕に出来ることなら伺いますが……」

「そうしてくれるとありがたい。いや、お主の年頃だと、人助けするのもそれが楽しいからなのだろう。もっとも、俺の頼みはたいしたことではない。夜露をしのぐ場所を教えて欲しいだけだ」

「それでしたらここに岩がありますよ。僕もこの下で嵐をやり過ごしました」

「うむ。だが俺の欲しいのは、夜食と寝床付きの宿のようなものなのだ」

「そうなるとちょっと難しいですね」

「では人里からはかなり遠いのか?」

「ピエールフィットですか?」

「ピエールフィットという名なのだな?」

「そうです。一里半くらいありますよ」

「一里半か。こんな夜中に、この空模様で、馬二頭だけなら二時間はかかるな。よく考えてくれ、ここらには人が住んでいないのか?」

「タヴェルネの城館が、せいぜい三百歩ほどのところにあります」

「そいつはいい! では……」

「えっ?」若者が大きく目を見開いた。

「どうしてすぐに言ってくれなかったんだ」

「ですがタヴェルネ邸は宿屋ではありませんよ」

「人は住んでいるのか?」

「ですが……」

「誰の住処だ?」

「それは……タヴェルネ男爵です」

「タヴェルネ男爵とは何者だ?」

「アンドレ嬢のお父上に当たります」

「いいことを聞かせてもらったがな」旅人は笑みを浮かべた。「俺が聞いているのは、男爵がどんな人物かだ」

「はい、六十代前半の貴族のご老人で、かつては裕福だったという話です」

「ほう。だが今は貧しいと、そういう落ちか。すまぬがタヴェルネ男爵の家まで案内してくれんか」

「男爵邸へですか?」若者の顔に怯えが走った。

「そうだとも! よもや拒みはすまい?」

「もちろんです。ですが……」

「何だ?」

「男爵はお断わりになるでしょう」

「宿を借りに来た迷える紳士に門前払いを食わせるというのか? 男爵は冬眠中の熊のように世を捨て引き籠もっているのか?」

「えっ!」。漏れた声にはこんな響きが含まれていた――まさにその通りなのです。

「取りあえず行ってみようではないか」

「僕はお勧めいたしません」ジルベールが答えた。

「ふん。男爵が熊でも生きたまま俺を喰らったりはすまい」

「それはそうですが、きっと門を開けてはもらえません」

「では打ち破るまでだ。案内が嫌でなければ……」

「ご案内しますよ」

「では道を教えてくれ」

「わかりました」

 旅人は二輪馬車に戻り、小型の角灯ランタンを取り出した。

 ジルベールは角灯が消えているのを見て、旅人が後部車内に戻れば扉の隙間から中の様子を覗けるのではないかと期待した。

 だが旅人は扉に近づきもしなかった。

 角灯を手渡されて、ジルベールはためつすがめつした。

「この角灯でどうすればよいのですか?」

「俺が馬を操るから、道を照らしておいてくれ」

「でも火が消えていますよ」

「また灯ければよい」

「ああ、馬車の中に火種があるんですね」

「ポケットの中にな」旅人は答えた。

「この雨では火口に火はつきっこありませんよ」

 旅人が笑みを浮かべた。

「角灯を開けてくれ」

 ジルベールは言われた通りにした。

「俺の手の上に帽子をかざしてくれ」

 ジルベールは再び言う通りにして、何が起こるのかと食い入るように見ていた。火をつけるのに火打ち石以外の方法があるとは知らないのだ。

 旅人はポケットから銀のケースを取り出し、中から燐寸を抜き出すと、ケースの下部を開いて糊状のものに燐寸を浸した。それは可燃性のものだったらしく、乾いた音を立てて燐寸に火がついた。

 あまりに簡単に意外なことが起こったものだから、ジルベールはぎょっとなった。

 それを見て旅人は笑みを浮かべたが、時代を考えればジルベールが驚くのも無理はない。燐の存在は一部の化学者にしか知られていなかったし、知っている化学者たちはその秘密を外に洩らさず自分たちだけで実験をおこなっていた。

 旅人は魔法の火を蝋燭の芯に移すと、ケースを閉じてポケットに戻した。

 若者はその珍しいケースの行方を穴の空くほど見つめていた。これほどの貴重品を手に入れるには、さぞや散財したに違いない。

「明かりも手に入ったことだし、案内してくれぬか?」

「参りましょう」

 ジルベールが先に立ち、旅人は馬銜はみをつかんで馬を牽いた。

 もっとも空模様は随分とましになっていたし、雨も小降りになり雷もごろごろと鳴りながら遠ざかっていた。

 会話を続けたいと思ったのは旅人の方だった。

「お主は随分とタヴェルネ男爵に詳しいようだな」

「不思議でも何でもありませんよ。子供の頃から男爵邸にいたのですから」

「するとお身内かね?」

「とんでもありません」

「後見人?」

「そうじゃないんです」

「お主の主人か?」

 この主人という言葉に若者は身震いし、青白かった頬がそれとわかるほど真っ赤に染まった。

「僕は使用人ではありません」

「だが誰でもない人間などいまい」

「父がかつて男爵の小作人だったのです。母はアンドレ嬢の乳母でした」

「なるほどな。お主が厄介になっているわけは、その若いご令嬢の乳母子に当たるからか。どうだ、男爵の娘御は若いのだろう?」

「十六になります」

 たずねられたのは二つだったが、お気づきのようにジルベールはそのうち一つをはぐらかした。自分に関する問いの方だ。

 旅人も同じことに気づいたようだが、追求はせず質問の矛先を変えた。

「いったい何故こんな天気のなか道の真ん中に?」

「道の真ん中にいたわけではありません。脇道沿いの岩陰にいたんです」

「では岩陰で何を?」

「本を読んでいました」

「本を?」

「ええ」

「何を読んでいたのだ?」

「『社会契約論』です。J=J・ルソーの」

 旅人は驚きの目で若者を見つめた。

「男爵邸の図書館にあったのか?」

「いいえ、買ったのです」

「いったいどこで?……バル=ル=デュックか?」

「ここで、通りすがりの旅商いから。しばらく前からこんな田舎にもいい本を持った旅商いが来るようになったんです」

「『社会契約論』がいい本だというのは誰に教わったのだ?」

「読めばわかりますよ」

「すると違いがわかる程度にはひどい本も読んでいるというわけだな?」

「ええ」

「ひどい本を教えてくれ」

「もちろん『ソファー』とか『タンザイとネアダルネ』のような本ですよ」[*2]

「そんな本をどこで見つけた?」

「男爵邸の図書館です」

「こんな田舎暮らしなのに男爵はどうやって新しい本を手に入れるのだ?」

「パリから送られて来ますから」

「待て待て。お主は男爵が貧しいと言ったではないか。何故そんな詰まらぬものに金を掛ける?」

「買ったのではなく、いただいたのです」

「ほう! もらったというのか?」

「ええ」

「いったい誰から?」

「ご友人の一人の大貴族から」

「大貴族だと? 名は何という。知っているか?」

「リシュリュー公爵と仰います」

「まさか! 老元帥か?」

「元帥その人です」

「だがよもやアンドレ嬢の目の届くところにそんな本をうっちゃっておるわけではあるまい」

「それどころか誰の目にも届くところに」

「アンドレ嬢も同じ感想だったか? やっぱりひどい本だったと」旅人はからかうようにたずねた。

「アンドレ嬢は読んでなどいませんから」ジルベールはにべもない。

 旅人は口を閉じた。素直かと思えば偏屈に、内気かと思えば大胆になる不思議な性格に、我知らず惹かれていたのだ。

「ではお主は、ひどいとわかっていながらなぜ読んだ?」

「ページを開いただけではどんな本かわかりませんから」

「だがすぐに判断できたというわけか」

「その通りです」

「それでも読み続けたのだろう?」

「読みましたとも」

何故なにゆえに?」

「知らないことを学べるからです」

「では『社会契約論』は?」

「漠然と思っていたことを学べました」

「というと?」

「人間は皆兄弟であること、社会がまだ整備されていないから農奴や奴隷が存在していること、いつの日か一人一人が皆平等となるだろうということです」

「ふむ!」

 ジルベールと旅人はしばらく無言で歩き続けた。旅人は馬の手綱を引き、ジルベールは角灯を手に持ち。

「するとお主はものを学びたいのだな?」旅人が低い声でたずねた。

「そうなんです。ぜひとも」

「それで、何を学びたいのだ?」

「あらゆることを」

「何のために?」

「上を目指すために」

「何処まで?」

 ジルベールは躊躇いを見せた――目指すところがあるのは間違いないが、どうやら胸に秘めて語りたくないのだろう。

「人間の行けるところまでです」

「では差し当たり何を学んだ?」

「何も――学べるわけがないでしょう? お金もなく、タヴェルネに住んでいるというのに」

「ほう、数学の智識はゼロか?」

「ええ」

「物理学は?」

「出来ません」

「化学は?」

「出来ません。今は出来るのは読み書きだけです。だけどいつか、数学も科学もすべて学ぶつもりです」

「いつ?」

「いつの日か」

「如何にして?」

「わかりません。でもいつかは必ず」

「面白い奴だ!」旅人は独り言ちた。

「その時には……」ジルベールも半ば独り言つように呟いた。

「その時には?」

「ええ」

「何だ?」

「何でもありません」

 そうこうしているうちに、ジルベールと旅人はかれこれ十五分は歩いていた。雨はすっかり上がり、春の嵐が明けた後に立ち上るあのつんと来る香りさえ地面から匂い始めていた。

 ジルベールは何やら考え込んでいたようだが、不意に口を開いた。

「嵐とは何なのかご存じですか?」

「だいたいはな」

「本当ですか?」

「ああ」

「嵐とは何なのかを? 雷の発生するわけをご存じなんですか?」

 旅人は笑った。

「二つの電気が呼び合うのだ。雲の中の電気と地面の電気だな」

 ジルベールは溜息をついた。

「僕には理解できません」

 旅人はもっとわかりやすく説明してやろうとしたのだろうが、折悪しく葉陰から明かりが洩れた。

「ほう! あれは何だ?」

「あれがタヴェルネです」

「では着いたのだな?」

「あそこが厩口です」

「開けてくれ」

「タヴェルネ邸の門がそんなに簡単に開くとでも?」

「なるほどタヴェルネ氏の要塞というわけか? いいだろう。たたいてくれ」

 ジルベールは門に近づき躊躇いがちに一敲きした。

「おいおい! そんなんじゃ聞こえんぞ。もっと強くだ」

 確かにジルベールの訪いが聞こえた様子はない。何もかも静まりかえったままだ。

「責任は取ってくれますよね?」ジルベールが確認した。

「心配するな」

 もはや躊躇いはなかった。ジルベールは敲き金を外して呼鈴に組みついた。とてつもない音が響き渡った。一里先でも聞こえたことだろう。

「それでいい! これで聞こえぬとすれば男爵は聾だぞ」

「マオンが吠えてます」

「マオンか! 男爵なりのリシュリュー公に対するお愛想のつもりだな」

「どういうことですか」

「マオンとは元帥が最後に征服した場所だ」

 ジルベールはまたも溜息をついた。

「これですよ! 言った通り。僕は何も知らないんです」

 二つの溜息の意味は旅人にも察しがついた。胸の奥に仕舞い込まれた苦悩と、挫かれてこそいないものの抑え込まれた野心が、ひとかたまりに凝縮されたものだ。

 その時、跫音が聞こえた。

「来たか!」旅人が言った。

「ラ・ブリさんです」

 扉が開いた。だがラ・ブリは旅人と奇妙な馬車を目にして息を呑み、ジルベール一人だと思って開けた扉をまた閉じようとした。

「すまんがここを訪ねて来たんだ。門前払いを食わせることはなかろう」

「恐れながらお客様がございます場合はあらかじめ男爵閣下にお知らせしておかねばならないのでございます……」

「わざわざ知らせることはない。ちょっと男爵の機嫌を損ねるかもしらんが、追い出されるにしても、身体も温まり服も乾いて腹も満たされた後のことだ。この辺りはワインが旨いそうじゃないか。そうなんだろう?」

 ラ・ブリはそれを無視して断固とした態度を取ろうとした。だが旅人の方にも用意があった。ジルベールが扉を閉めている間に、瞬時にして馬二頭と馬車を並木道に入れてしまった。負けを悟ったラ・ブリは、それを自ら報せに行こうと決めたらしく、逃げるようにその場を退き、邸に向かって駆けながら声を限りに呼ばわった。

「ニコル・ルゲ! ニコル・ルゲ!」

「ニコル・ルゲとは何者だ?」旅人はなおも落ち着き払ったまま歩き続けた。

「ニコルですか?」ジルベールがびくりとして聞き返す。

「うむ、ニコルだ。ラ・ブリ殿がそう呼んでいた」

「アンドレ嬢の小間使いです」

 そのうち、ラ・ブリの声に答えて木陰に明かりが現れ、魅力的な娘の姿が見えた。

「どうしたのラ・ブリ、何の騒ぎ?」

「急用じゃ、ニコル」老人の声は震えていた。「旦那さまにお知らせせい。嵐に遭うた御仁が宿を求めていらっしゃる」

 ニコルは一度聞いただけで城館に取って返し、たちまち姿が見えなくなった。

 ラ・ブリはといえば、男爵に不意打ちを食らわすことだけは避けられたと見て、一息ついていた。

 やがて伝言が伝わったと見え、アカシア越しに垣間見える戸口から、そして玄関の石段から、甲走った高飛車な声が聞こえて来た。繰り返している言葉から察するにもてなす気分とはほど遠いらしい。

「客人じゃと!……何者だ? 人の家を訪ねるなら、せめて名乗るものじゃ」

「男爵かね?」騒ぎの素である旅人がラ・ブリにたずねた。

「さようでございます」ラ・ブリは臍を噛んだ。「お聞きになりましたか?」

「俺の名前のこと……か?」

「さようで。私も伺うのを失念しておりました」

「ジョゼフ・ド・バルサモ男爵だと伝えてくれ。同じ身分だとわかれば主人の気分も治まろう」

 ラ・ブリはその肩書きを聞いてわずかなりとも勇気を得て、主人のところに伝えに行った。

「では入ってもらおう」という呟きが聞こえた。「ここにいる以上……どうかお入り下され。それ……さよう。こちらに……」

 言われるまでもなく旅人は前に進んだ。だが玄関の石段に足をかけた時、ふと後ろを振り返ってジルベールがついて来ているか確かめてみようという気を起こした。

 ジルベールは消えていた。


Alexandre Dumas『Joseph Balsamo』Chapitre IV「Girbert」。初出『La Presse』紙、1846/06/05、連載第5回。


Ver.1 08/01/12
Ver.2 16/03/01

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[訳者あとがき]

[註釈]

*1. [嘲りが旅人の口によぎった]
 底本になし。初出より訳出。「Un sourire de mépris passa sur les lèvres du voyageur. 」。[]
 

*2. [ソファー、タンザイとネアダルネ]
 「le Sopha」(1742年)、「Tanzaï et Néadarné」(1734年)ともにフランスの作家クレビヨンの作品。Claude Prosper Jolyot de Crébillon(1707-1777年)。同じく作家であった父と区別するためクレビヨン・フィス(小クレビヨン)と称される。父は悲劇作家であったが、息子はエロティック文学・好色譚を得意とした。フランス版Wikipediaによると「le Sopha」は、ソファーに変身した人間が見聞きした話をスルタンに語り聞かせる千夜一夜物語のような内容らしい。邦訳『ソファー』あり。「Tanzaï et Néadarné」の方は詳細不明だが、サブタイトルに「histoire japonaise」とあるところからすると「le Sopha」と同じような東洋綺譚か。[]
 

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