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★著者紹介
ビブリオグラフィ・年譜
このサイトで翻訳している作品

G・K・チェスタトン(チェスタートン) (1874〜1936)
Gilbert Keith Chesterton  

 イギリスの小説家・評論家。イギリスでは評論家としても有名なようですが、日本ではブラウン神父の生みの親として有名です。

 1874年、不動産仲買人の子として、ロンドンに生まれる。セント・ポール学院にてE・C・ベントリーと交遊。ロンドン大学スレイド美術学校にて絵画を学ぶが中退。出版社に勤務し『ブックマン』誌に書評を寄せる。
 二十世紀に入るとヒレア・ベロックとともに雑誌『新証言』を創刊。カトリシズムに傾倒、社会主義を批判した。
 1904年、ブラウン神父のモデルと言われるジョン・オコンナー神父に出会う。
 1922年にイギリス国教会派からカトリックに改宗。
 バーナード・ショーやH・G・ウェルズらとは論敵だった。

 評論、ミステリにかかわらず、独特の逆説と着想が魅力のひとつとなっていて、『知りすぎた男』の多くも優れた逆説が堪能できます。
 代表作は評論『正統とは何か』『異端者の群れ』、評伝『チャールズ・ディケンズ』、ミステリ『ブラウン神父』シリーズ、幻想小説『木曜の男』、詩集『白馬のバラッド』他。

 

――「ちなみに北村(薫)さんの「砂糖合戦」というのが、ブラウン神父の……。つい言ってしまった(笑)。」(笠井潔)
――「古畑ってどっちかというと短篇のイメージだったんで、『ブラウン神父』の作り方というのをもう一回読みなおして、これなんだなと」(三谷幸喜)
――「《チェスタトンの不条理の味》がするものである。私はこれが苦手なのだ。」(二階堂黎人)
――「怪盗はあざやかに獲物を盗み出す創造的な芸術家だが…探偵はその跡を見てなんくせつける……ただの批評家に過ぎねーんだぜ?」(怪盗キッド)
――「(チェスタトンには、)神はスケールが大きくて、人間の愚考の数々を天上から朗かに笑っておるのだという、そういう種類の人間観・神観というのがある。」(西部邁)
――「チェスタトンは独自のアフォリズムやパラドックスが多いから、読むのはしんどい。新しい訳で読み直したいね。」(瀬戸川猛資)
――「チェスタートンでは、(中略)全體に亙つて、ヌケヌケとした、ふてぶてしい、ユーモアのある、無邪氣な殘虐といふやうなものが、最も濃厚に漂つてゐる。」(江戸川亂歩)
――「チェスタートンの魅力は、まづ何よりも彼の詩にあるのだ。彼のトリックも、彼の神学も、すべては彼の詩のために存在する。……」(丸谷才一)
――「自分の作品がチェスタートンのスタイルをとっているのが、真ッ先にバレるとは思っていませんでしたね。もう少しごまかせるかと思ったんですが、いきなりチェスタートンといわれて、びっくりしました。」(泡坂妻夫)
――「ブラウン神父は読んだ?」「それは誰? 教会には縁がなかったからね」(石岡和己と御手洗潔)
――「チェスタトンは釣りにいきたがるかどうか、わからないぜ」「いや、いきたがるさ。彼はきっと、この世でいちばんいいやつだよ」(ビルとニック・アダムス)


ビブリオグラフィ  作品一覧
1900 Greybeards at Play 『老爺戯作集
 ・詩集。チェスタトンのデビュー作。
邦訳 『老爺戯作集』(渓水社)織田禎造訳 →[渓水社]出版社サイトから購入可能。

  →  収録各短篇あらすじ・作品レビュー

1901 The Defendant 『有象無象を弁護する
 ・『棒大なる針小』に「三文小説弁護」「ノンセンス文学弁護」「ドタバタ喜劇弁護」「探偵小説弁護」の四篇収録。
邦訳 『棒大なる針小』(春秋社)安西徹雄・別宮貞徳訳bk1(新装版)・amazon(旧版)amazon(新装版)]

  →  収録各短篇あらすじ・作品レビュー

1904 The Napoleon of Notting Hill 『新ナポレオン奇譚
 ・小説第一作。悪趣味な悪ふざけと鋭い批判精神に満ちたホラ話。
邦訳 『チェスタトン著作集10 新ナポレオン奇譚』(春秋社) 高橋康也・成田久美子訳amazonamazon(新装版)]
『新ナポレオン奇譚』(ちくま文庫) 高橋康也・成田久美子訳(上記の文庫化)[bk1amazon

  →  今から八十年後の未来、英国では、抽選に近い形で選ばれた〈愚者〉による専制政治が行われていました。民主主義が「万民が平等である」という原則に基づいているのなら、大勢の愚者が集まって紛糾するよりも一人の愚者に任せた方が効率的、という理由によるものです。ところがこのたび選ばれたのは、冗談好きの諧謔家《ユーモリスト》。地元色を(無理矢理)出させる政策を打ち出して楽しんでいたのですが、やがてその冗談を本気で信じる狂信者が現れたことで、ロンドンは内戦状態に突入します。

1905 The Club of Queer Trades 『奇商クラブ
 ・邦訳版は表題短篇集に、『The Man Who Knew Too Much』所収の中篇「背信の塔」「驕りの樹」二作を加えた作品集。表題作『奇商クラブ』は面白可笑しいヘンな話。
 ・併録二作はどちらも文句なしの傑作。
邦訳 『奇商クラブ』(創元推理文庫)中村保男訳bk1amazon

  → 収録各短篇あらすじ・作品レビュー

1908 The Man Who Was Thursday: A Nightmare 『木曜の男
 ・スパイ・ミステリであり哲学ファンタジーでありユーモア小説でもある長篇小説。あらゆる意味でぶっ飛んでいる問題作である。翻訳の問題(読んだのは吉田健一訳にあらず大西尹明訳)もあるのかもしれないが、既読のチェスタトン作品の中ではいちばん読みやすい。
邦訳 (1)『木曜の男』(創元推理文庫)吉田健一訳bk1amazon
(2)『木曜日の男』(ハヤカワ・ミステリ)橋本福夫訳(品切れ)
(3)『世界推理小説大系10 チェスタトン』(東都書房)に「木曜日の男」の邦題で収録、大西尹明訳。(絶版)
(4)『木曜日だった男』(光文社古典新訳文庫)南條竹則訳bk1amazon

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1908 Orthodoxy 『正統とは何か
 ・『異端者の群れ』(1905)への反論に対するアンサー・ブック。キリスト教「正統」に対する考えの表明であり、チェスタトン評論の代表作。
邦訳 (1)『チェスタトン著作集1 正統とは何か』(春秋社)安西徹雄訳(軽装版)[bk1 amazon

  → あらすじ・作品レビュー

1909 How I Found the Superman 「余は如何にして超人を見つけしか

 ・『正統とは何か』(1908)のピーター・ミルドワードの解題によると、「生命のない物質から出発して、さまざまな生物を経てついに人類において頂点に達し、そしてさらには超人へと最後の一歩を登りつめて行こうとする進化の鎖という観念」が当時の時代背景にあり、「G・B・ショーは、『人と超人』(一九〇三年)で力強い劇的な表現をこれに与え、また後にこれを歴史として展開したのがウェルズの『世界文化小史』(一九二〇年)であった。」と書かれてありました。そしてチェスタトンはそうした思想に批判的でした。

あらすじ

 ――わたしは超人を見つけた。かれは南クロイドンに住んでいた。わたしは両親にたずねた。「どんな外見をしているのでしょうか?」「普通ですよ。つまりかれらの水準からすれば」

1911 The Innocence of Father Brown 『ブラウン神父の童心
 ・カバーイラストが神父のシルエットだった一昔前の表紙が好きでした。
邦訳 (1)『ブラウン神父の童心』(創元推理文庫)中村保男訳bk1amazon
(2)『ブラウン神父の無知』(ハヤカワ・ミステリ)村崎敏郎訳(品切れ)
(3)『名探偵コレクション・ブラウン神父』(集英社文庫)に「飛ぶ星」収録、二宮磬訳[amazon
(4)『グレート・ミステリーズ ブラウン神父物語』(嶋中文庫)に「青い十字架」「秘密の庭」「奇妙な足音」「見えない人間」「折れた剣」収録、田中正二郎訳[bk1amazon
(5)『世界推理小説大系10 チェスタトン』(東都書房)に「青い十字架」「奇妙な足音」「飛ぶ星」「見えない男」「イズレウル・ガウの面目」「サラディン公爵の罪悪」「神の鉄槌」「アポロの眼」「三つの兇器」収録、宮西豊逸訳。(絶版)。
(6)このサイト→「奇妙な足音」wilder訳 htmlファイル。

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1913 Magic: A Fantastic Comedy 『魔術 幻想的な喜劇
 ・戯曲。
邦訳 『魔術 ― ある幻想的な喜劇』html という邦題で第一幕がネット上で翻訳されています。  

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1914 The Wisdom of Father Brown 『ブラウン神父の知恵
 ・傑作揃いだった前作『童心』と比べると落ちるのは否めないが、むしろ『童心』の出来が異常なのであって本書がつまらないというわけでは決してない。
邦訳 (1)『ブラウン神父の知恵』(創元推理文庫)中村保男訳bk1amazon
(2)『ブラウン神父の知恵』(ハヤカワ・ミステリ)村崎敏郎訳(品切れ)
(3)『名探偵コレクション・ブラウン神父』(集英社文庫)に「ペンドラゴン一族の滅亡」収録、二宮磬訳[amazon
(4)『グレート・ミステリーズ ブラウン神父物語』(嶋中文庫)に「ペンドラゴン一族の悲劇」「銅鑼の神」収録、田中正二郎訳[bk1amazon

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1922 The Man Who Knew Too Much 『知りすぎた男
 ・表題短篇集のほか、「背信の塔」「驕りの樹」「The garden of smoke」「The five of swords」の四編を加えた作品集。「背信の塔」「驕りの樹」の邦訳は創元推理文庫『奇商クラブ』[bk1amazon]に収録。
邦訳 (1)『知りすぎた男』(このサイト)江戸川小筐訳html ファイル。
(2)『知りすぎた男 ホーン・フィッシャーの事件簿』(論創社)井伊順彦訳bk1amazon]  

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1926 The Incredulity of Father Brown 『ブラウン神父の不信
邦訳 (1)『ブラウン神父の不信』(創元推理文庫)中村保男訳bk1amazon
(2)『ブラウン神父の懐疑』(ハヤカワ・ミステリ)村崎敏郎訳(品切れ)
1927 The Secret of Father Brown 『ブラウン神父の秘密
邦訳 (1)『ブラウン神父の秘密』(創元推理文庫)中村保男訳bk1amazon
(2)『ブラウン神父の秘密』(ハヤカワ・ミステリ)村崎敏郎訳(品切れ)
1928 The Sword of Wood 「木の剣

 ・おとぎ話を信じられなくなった現代の、時代から取り残された地方の村。魔女狩りよりも独裁者の方が身近な時代に起こった、魔法としか思えないできごとと、その種明かし――幸か不幸か、魔法にも種はあったのです。

あらすじ

 ――若き教師Dennis Tryonは、Jeremy Bunt少年がおもちゃの剣で遊んでいるのを見つけた。「先の鈍った剣でも役に立つ。勇敢であれば偉大になり、卑劣であれば杖で打たれる。ただし覚えておきなさい。反対側を持てばさらに強くなれる」そういってTryonは剣をひっくり返して十字にした。そのとき、若い女性が悲鳴をあげながら走ってきた。その後ろから怪物のような黒い影が、剣を持って突進してきた。「逃げてください。軍隊の英雄だったSir Guyですら倒されてしまったんです」。だがTryonはステッキを持って立ち向かった。学生時代に学んだフェンシングを思い出していた……。男を倒したTryonは一躍英雄になったが、剣も持たずに剣士を倒したのは、魔術を使ったに違いないと噂され……。

1929 The Poet and the Lunatics 『詩人と狂人たち
邦訳 (1)『詩人と狂人たち』(創元推理文庫)中村保男訳bk1amazon](品切れ)
(2)『詩人と狂人達 世界幻想文学大系』(国書刊行会)福田恆存訳bk1amazon
1930 Four Faultless Felons 『四人の申し分なき重罪人
邦訳 四人の申し分なき重罪人 四人の申し分なき重罪人(ちくま文庫)
『四人の申し分なき重罪人』(国書刊行会)西崎憲訳bk1amazon
『四人の申し分なき重罪人』(ちくま文庫)西崎憲訳(上記の文庫化)[bk1amazon]
1935 The Scandal of Father Brown 『ブラウン神父の醜聞
邦訳 (1)『ブラウン神父の醜聞』(創元推理文庫)中村保男訳bk1amazon
(2)『ブラウン神父の醜聞』(ハヤカワ・ミステリ)村崎敏郎訳(品切れ)
1937 The Paradoxes of Mr. Pond 『ポンド氏の逆説
 ・温厚で控え目の小柄な紳士ポンド氏には、穏当な筋の通った談話の最中に奇妙な発言をまじえる癖があった。巨匠チェスタトン自らが逆説集と銘うった珠玉の短編集。
邦訳 『ポンド氏の逆説』(創元推理文庫)bk1amazon

  → 収録各短篇あらすじ・作品レビュー


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